大江健三郎「話して考える」と「書いて考える」12

○リリーディングする読書は、自分の人生の探求に実り多いものとなる。とくにそうした探求が切実に必要な人生の時になって、本当に役立つ読書の指針・仕方です。

●読書体験の立体化。それは人生の経験の立体化。

●自分の人生をリリーディングし続けた人として、モンテーニュがいると思う。この人は、書いて考える人であった。

○子供の読書は、新鮮な世界に飛び込んで行く体験である。言葉の迷路のような未知の世界に飛び込む。しかし、それは、自分の将来の日々のための、そこで人生のしめくくりにどうしても必要な、方向性のある探求をするための、時間をかけての準備でもある。

○大人は、そのことを予言してやる必要がある。そして本の選択に助言してやる責任がある。

●そうだと思う。また、そうでない場合にも、何も失われたことにはならない。どんな人も同じ時間を生きてきているのだ。それぞれの体験の中から、くみ取ればいいだけだ。ただ、自分の将来をも視野に入れて考える習慣のある人ならば、自分はこの本を将来読み返すだろう、自分にとってこの本が将来重要になるだろうと予感しつつ読むのもいいことだ。多分、その方向に人生は動いていくだろうから。

●それは、若い頃の、自分の人生についての、宣誓のようなものだろう。宣誓をしなくても試合は始められる。しかし宣誓をすれば、教育的効果は、より深くなるだろう。