おじいちゃんと将棋

子供の頃、おじいちゃんと将棋をした。
最初はおじいちゃんが手加減をしてくれていたが、
だんだんわたしが強くなって、
多分、少し追い越したくらいで、将棋をしなくなった。
わたしはおじいちゃん以外の人と将棋をしたことはあまりない。
わたしは長考型で、いつまでも考えている。
おじいちゃんはその間に、国会中継を見ていたりする。

いまから思えば、所詮ゲームである。
思いつきをどんどん試してみればよかった。
どうも真面目すぎた。
あの将棋の様子を思い出すと、
自分の人生のつまらなさの原型が見えてくる。

おじいちゃんの将棋も、
あまりにもまともで、
平穏なものだった。
いまから思えば、つまらないのである。
そのあたりは似ているのだろう。

あとでおじいちゃんは、
定跡を覚えて詰め将棋を沢山やれば強くなると、
教えてくれたのだが、
対戦している期間には何も言ってくれなかった。