困ったもんだ食い物屋

銀座で働く人もいろいろいて、

うつになるくらいだから職場に不満はあり、

ちらちらと語る。

もうあちこちに書いてあることだから問題ないと思うが、

ワインリストは持ってこない。いろいろと話をして、それでは、お勧めのものを、と引っ込む。

店には、一括大量仕入れした赤と白のワイン各一種類だけがある。

結局、長々と、赤か白かを決めただけで、あとは余計な薀蓄とよいしょだ。

ぴったりのものがありましたと言って、持ってくるものは、もともとある赤か白、それだけ。

客はそれで充分に満足らしく、店としても、安いワインで商売ができるので、

ワイン・トーカーを用意しても元が取れる。一種の芸人。トークにお金を払っている。

二人の客に、別々のパスタを頼まれると人手が足りないので、

二人分を一度で作ってしまえるように、

「分量が多いから、一皿だけ注文して、取り分けるとちょうどいい」とトークする。

こんなトークが効くのも、高級店のイメージがあるからだ。

店の流儀に従おうという気にさせる。

家賃が高い分、いろいろな「技」を使うのだそうだ。

銀座にお店があるというと偉い感じなんでしょうね。

ということは、銀座という街の、総合ブランド計画が成功して維持できているということです。

でも最近は、有楽町、東京、汐留、など、周辺に広がりを見せていて、

中心部はやたらに高いだけという印象もあります。

新橋だけは相変わらず、焼き鳥と焼酎でして、

部屋を閉め切っていても、焼き鳥の匂いが侵入してきます。

開発され尽くしてそろそろおしまいか、

あとは新橋、SL広場地区しかないと大規模開発が始まるか。

始まるわけがないね。最近の新しい有楽町のビルでも、

ミッドタウンでも、中に入っているテナントは重複していることも多い。

形は変わっても資本は同じだったりとか。

客単価の安い店は限られてくるのだろう。

あまり詳しくないわたしとしては、ここはどこだっけと思ったりする。