自殺対策の目玉である精神科医療連携加算

自殺対策の目玉である精神科医療連携加算は、プライマリケア医がうつ病などの精神疾患を疑い、診断治療の必要性が認められた場合に、患者への説明・同意を得て、精神科医の受診予約をした後に患者を紹介すると、診療情報提供料として1回につき200点の加算が付く仕組み。
  自殺を防ぐためには、うつ病や躁うつ病、統合失調症、アルコール依存症、薬物依存症といった自殺リスクが高い精神疾患を早期に発見し、治療を行うことが重要だ。しかし、うつ病などの精神疾患患者の多くは精神科を受診していない。また、本当は心の問題であるにもかかわらず、患者自身がそれに気付かずに、身体症状から内科などを受診してしまうケースも多い。行政は、精神科への患者紹介を促進すれば、早期診断・治療に弾みがつき、自殺対策に寄与するとみている。

 ただ、個別の改定項目については厳しい指摘も多い。精神科医療連携加算は、患者を紹介する側のプライマリケア医には加算が付くものの、患者を受け入れる側の精神科医には点数が付かない。同学会では、「連携加算の導入によって、今後は自殺念慮を持つ難しい症例が次々と精神科に紹介されることになる。しかし、精神科の方でも医師不足が深刻化しており、医療提供体制の構築が間に合わない」と懸念する声が上がった。
  紹介が乱発されれば、精神科がパンクする危険性もある。必要な医療がきちんと受けられる体制を確保するため、今回の改定では、「精神科医に受診日の予約をとった上で紹介した場合に加算する」という“しばり”が付いた。紹介状を書くためには、プライマリケア医と精神科医の間で、互いの顔を思い浮かべられるような信頼関係が必要になる。この激変緩和措置がどのような効果をもたらすのかも注目されている。