夏休みの子供

夏休みが始まりました。
子供さんのいる御家庭では家計が大変なこの頃は、
頭が痛いことです。
ディズニーランドに行くのにも、ためらいがでます。
どうしましょう?

妻がパートでもらった給料が全部子供の塾の費用に消えると語る人もいる。
親とはありがたいものだ。
逆に、子供が正社員で働いた給料が全部、親の認知症施設で消えるという人もいる。
子供もありがたいものだ。

家政学科で子供の事を研究していて、
遊び方なんかを学問している人に聞くと、
最近の子供は、「群れて遊ぶ」能力が退化しているのではないかとの
事だった。

普段はちょっと離れて牽制しあったりしているが、
結局一緒にされると、突然、みんなでトイレに行こうとか、
仕切る子もでてくるし、
それに逆らえない子も出てくる。

普段離れすぎていて、いざとなるとくっつきすぎて、
適度な距離が取れないらしい。
やっぱり、幼児のままで成長している。

目立つと攻撃されるし、目立たないと無視されるし、つらいそうだ。
親はそれに伴って神経質になる。

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そもそも昔はおもちゃなんかないわけだ。
そのあたりの棒きれを「刀」とみなしたり、「銃」とみなしたりして、
遊んだ。
何もなくても、「みなす」能力が発揮される。
スパイになったり、警察になったりする。

ユニフォームがなくても、ベースがなくても、イチローごっこになり、
野茂ごっこになるはずだが、それは老人の考える遊びらしい。

発想が「闘争系」で昔っぽいが、昔はそうだった。
最近は「省エネごっこ」とか「財政緊縮ごっこ」「節約ごっこ」「CO2キャップごっこ」
なんてあるかもと、書こうとしたがあるわけはない。
平和ごっこは子供にはありえないのだ。
あくまで「闘争」だろう。

ゲームを買ってくれと親にせがむなどは
何とファンタジーのないことかとよく言われるし、
私もそうだと思う。
しかしまた、仲間社会で、あるいは友達地獄で生きていくには、
共通の体験が必要で、
それがゲーム、塾、携帯、そんなものになるという事情も分かる。

友達地獄は嫉妬地獄だから
お互いに監視がきついのもよく分かる。
最近の子供は実際きついのだ。
当然、親は神経質になる。

昔って、どんな風に子育ていていたっけ?といまさら思うような次第だ。
学習障害とか注意欠陥多動とかそのほか微妙な種類の言い方が増えた。

「闘争」系の心がどのように発散されて処理されるのか、
知りたいが、発散は難しい様子だ。
やはりスポーツが最適で、
「八幡イーグルス」などで外野を守って8番くらいを打っていれば
一番穏健だ。
やや野獣型はサッカーで、へディングをしている間に、
脳血管が損傷を受ける。

料理クラブにさっさと入って、
レタスチャーハンを器用に作る男の子がいて、
私はそんな子が大好きだ。
味の素は使わない主義に賛成する。
料理で闘争心を燃やす。
美味しんぼなどを研究する。

親と一緒にレストランにはいっても、妥協はない。
疑問があれば店の人に聞いてまわる。
いい味を追い求めている。
所詮子供でハンバーガーなどにだまされるのだが、
それだけでもない。

アジの開きにうるさい。
秋刀魚の焼き加減にうるさい。
苦いのがいいとか、
背びれに塩を降って焼くとか、騒いでいる。

そんな子は将来、一緒に食事をする時に、
上手に合いの手を入れてくれて、食事をおいしくしてくれる人物になるかも知れない。
普通の食事もおいしくしてしまう人間がいて、
それは世の中で役立つ人間のひとつである。

「お、この大根おろしはただものではない」といち早く発見し、
一同が推測し、店の人に正解を求めたりする。
甘すぎず苦すぎず、焼き魚を引き立て、
冷たすぎず温すぎず、適度な加減の大根おろしというものも、
難しいものだと思う。
作り置きすればセラチア菌事件ではないが、
乾燥しがちだし、
苦すぎる部分も、甘すぎる部分も、良いとはいえないし、
手で握っていて温まるだけでもよくなくて、
つまり何人分もすりおろしてはよくないことになり、
まあ、そこまでは細かくは言わないが。

いずれにしても、将来、奥さんが苦労して作ったお料理の真価を適切に褒める人間になり、
愛されるに違いないと思う。
人は評価されなければ、やらなくなってしまうものだ。

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子供が遊ぶ能力とは、
何かに「なりきる」能力である。
自分は子供だと思っていたら、遊びにならない。

映画「タイタニック」を「映画だ」と思って見ている限り、
CGの塊に過ぎない。
美男美女とはいえ、どうしてあそこまで好きになり、命を投げ出すか、理解できない。
主人公になりきるから、
愛し、愛されるのは当然で、みんな泣いているのだ。

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テレビに出る人たちは演じているのであり、
そのまねをするということは、
演じている人を演じるわけで、
相当分けの分からない事をしている。

だから、演じない芸人が重宝がられたりもする。
ピンクレディーを真似するように、
まねすることができる。

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未来の夢がアイドルという人、アナウンサーという人は、
おかしなものだ。
何がおかしいかと言うと、
今日からでも訓練が開始できるのだ。
総理大臣になりたいという人は、簡単な練習が出来ない。
口真似をしても総理に似なれるわけではない。
アイドルやアナウンサーは、原則、歌真似や口真似で充分なのだ。
テレ朝で働きたかったら、
「絶対」「徹底的に」をくり返し言い続ければいいらしい。

総理になりたい人は、まず、自分の親が総理経験者かどうかを確認することになる。

しばらく前の総理辞任劇では、
日本国の総理選抜制度の未熟さを見せ付けたことになった。
大企業の社長がこのような形で任務に耐えられないという事態が起こるだろうか?
起こらない。
それは選抜制度が厳然としてあり、きついからだ。
その場合の総理は、
選抜制度を素通りして、
いわば大分県の某教員のように、総理になってしまったわけだ。

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といったような状況なので、子供の夏休みの想い出は、
シネコンで過ごす一日である。

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ある地方の話だが、
シネコン付きのスーパーのそばに開業した整形外科があった。
シネコンが不振になり、スーパーも合併騒ぎとかで、店じまいし、
全部駐車場になってしまった。
借りているならよかったが買ったものなので、
いまさらどうしようもない。
郊外型物件で、転用のしようもないという事情らしい。

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そんな情報を交換していた
会計士さんはとても澄んだ悲しい目をした人で、
独特だった。
この人に妹さんがいて、クラブのママさんになれば、流行るだろうと思った。