バーチャル世界は単純簡単早い

バーチャルとリアルの違いの一つは、複雑さの程度であり、偶然がどの程度未来を変えるかという点である。
バーチャル世界は現実よりも単純である。現実よりも偶然に左右される程度は少ない。どうせプログラムの範囲内である。
なぜなら、そうでなければ、人気が出ないからである。飽きられてしまう。
偶然に左右されているバーチャル世界だとしたら、だれも長い時間はつきあっていられない。
偶然の少ない、因果関係が現実よりもはっきりした世界だからこそ、バーチャル世界で楽しみたい人もいるのだと思う。
目的のためには何をすればいいかが比較的はっきりしていて、そのための努力も、現実世界よりはハードルが低い。そして早く報われる。
現実世界から逃避して、簡単な練習問題で自信をつけるようなものだ。
現実世界を生きるよりも、簡単に成果が得られるから、好まれる。
一時的にはそれでもいいと思う。ただし現実に踏み出していくときには、一段高いハードルがあると思って間違いない。

ゲームの世界は、結局、単純で、簡単で、早くご褒美が出る。
現実世界は、複雑で、偶然要素もかなりあり、難しく、なかなか報酬がもらえない。報酬と思えたものがとんでもない災難だったりする。

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昔からたとえば遊郭はそんな場所であった。
お金さえ積んでもらえれば、あとは「ごっこ」の世界であって、ちやほやされてもてて、わがままも聞いてもらえて、いい気分になれる。
そして昔から遊郭にいりびたってしまう若旦那はいたものだ。
人間は一部はそのようにできている。

現代のゲームやネットの世界は、昔の遊郭ほどは遊ぶ人の経済的負担は大きくない。
しかし時間の負担は大きい。本業も友人も家族も捨てて、
つまり未来を捨てて、打ち込むことになる。
若い時間を浪費することはかなりの損失である。

しかし経営者としては昔の遊郭よりも現代のゲーム・ネットの方が儲かるだろう。
利用者は安くて簡単に遊べるという点では誰でもやみつきになりやすいところがあり、
利用者の参入障壁が低いことも問題である。

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このようなゲーム・ネットの世界に
うっかりはまり込んで現実がうまくいかないという人は、
親が無理矢理にでもゲーム・ネットを制限すればよい。
自然に現実世界に戻る。

しかしそうではなくて、最初に現実世界への不適応が明らかになり、
閉じこもりがちになり、そこでゲーム・ネットにのめり込んだ人の場合は、
ゲーム・ネットを取り上げられると、再び現実に直面しなくてはならず、
その人は現実とどのように向き合ったらいいのか、分からない人なのだから、
相当困る。
その場合には、ますせゲーム・ネットでいいから、少しでも自信をつけてもらう、
という方向付けも必要になる。
チャットでもしながら、対人関係の入り口を体験してもらい、次第に抵抗のない形で、
現実の世界に導入するしかないだろう。

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単純簡単早いというと
早い安いうまいの牛丼屋のようだ

肉とタマネギを買ってきて、米を炊いて、などはできなくても、
お店で牛丼を食べるだけはできるだろう。
そのくらいの違いがある。