NHKドラマ 病院のチカラ

57歳の男、ガンに侵され、余命は長くはない。
事業は途中で挫折したらしく、海岸には建設機材とか建設機械が放置されている。
この海岸に新しい町をつくりたかったということらしい。

仕事に挫折して、おまけに命も尽きようとしている、
何という過酷な設定。
NHK、つらすぎるぞ。

今の私はそのような状況に、昔よりは共感できるのだと思う。
道半ばにして志を挫かれた者の気持ちは多少分かるつもりだ。
そんな人たちが涙を流したり、
他人に対しては強がりを言ってみたり、
その辺りの一通りは経験もした。

そしてここからまた歩き始めることが課題である、なんて言われる。正論である。
いつでもそうだ、人生にはその先が待っている。
安息の地はない。
あるいは、一歩一歩の苦労を続けることが安息なのだと教えられているような気がする。

働いていれば安心していられる。
不思議なものだ。
私にとっては、仕事をするとは、
最も困難な課題から顔を背けて、安易な妥協のうちに安住するということだ。
安易というのは言いすぎだけれど、
誰も通ったことのない道を切り開く困難ではないのだ。
世間の無理解とも戦うという状況でもない。
戦いは戦いであるが、戦い易いとはいえる。
何より世間が安心していてくれる。
私を肯定してくれる。
それが仕事の一番の効用かもしれない。

ただ、やはり、引退してしまいたいという気持ちは強いのだ。
退却したい。
人の目に触れずひっそりと暮らしたい。
そんなことも思うのだ。