老いの苦しみ

かつて壮健だったものが
しだいに老衰して朽ち果てる
どの人もそうだった
これほど確実なことはない

この苦痛に対処する方法がない
ただわずかに
来世の観念は二千年にわたり人を慰めてきた
愚かな私はそこにも慰めを見出せない

グノーシスの物語は出版されても
ひからびた学問の言葉だけがある
老いの苦しみに答えてはくれない

かつてあれほど熱中した言葉が
いまは虚しい
かつての熱中が幻であったのか
いまの虚脱が幻なのか

理性はいずれも
疲れた脳髄の見る幻と教えている

いずれであったとしても
大差はない

老いの苦しみも
現実の飢餓や寒冷に比較すれば
まだ緩慢である

人間は緩慢で抽象的なものには
感度が異なるので
感覚を共有できない