銀行は特別

「スーパーもレストランもどんな店でも経営に失敗してお金を失えば倒産するが、銀行はそれらといったいどこが特別なのだろうか?
読んだ記事の限りでは、銀行がなくなると誰もお金を借りられなくなり、経済が停滞するから。ということらしい。
しかし、銀行は自分のお金を貸しているわけではない。銀行は人のお金を貸している。
銀行が消えても、借手がいなくなるわけではない。さらに貸し手がいなくなるわけでもない。
唯一の問題は、借手と貸し手がお互いに出会えるかということだ。
銀行が破綻すればお金を借りるのが困難になるというが、銀行が潰れてもお金を貸すのが困難になるわけではない。お金の貸し借りは対称的なものであるから、それを政府の公式見解のように非対称に語るのはおかしい。

1930年代は、銀行の連鎖倒産によって、お金の貸し手と借手が出会うことが困難になった。
その結末はドラスティックであった。しかし当時と今では状況が大きく異なる。
第一に1930年の大恐慌は、銀行倒産が原因ではなく、30%ものマネーサプライの縮小が原因であった。
これは現代ではFedが容易に防ぐことができる。

第2にインターネットのようなテクノロジーによって、お金を借りたい人と貸したい人が出会うのは極めて容易なことになっている。
アメリカ以外の国々も危機になっているというのは分かっている。しかし他の国でもお金の借手と貸し手が出会うことが難しいことではない。
言い換えれば、私はこういった巨大銀行が本当に必要なのか疑問なのだ。それらが消えてなくなっても、別に寂しいとは思わないだろう。

以上で私が見落としているポイントがきっとあるだろう。
しかしもしそうなら、バーナンキ、ポールソン、とりわけブッシュ大統領にはそれが何であるのかを早急にそれを説明する義務がある。」

ランズバーグはアンドレ ヴェイユ(という天才数学者)から影響を受けたと自分で言っている。実に誰でも分かるクリアかつ厳密な説明だ。
銀行という企業形態は、普通の株式会社とは結構異なる政府規制の大きい業界だ。適用される法律も結構異なる。だが、その点を除けば銀行はその他の株式会社を変わらない。
だから銀行が倒産すれば、他の株式会社 と同様に有限責任で、株主と債権者が損をするだけだ。
そこに国家とか社会とか一般国民というのはでてこないはずなのである。