ネット社会の人間が生きている現実

これだけ豊かで便利になってしまうと、人々に物質主義や拝金主義がはびこり、権力や名誉といった自分に関係あることばかりに関心が働いてしまっているのが現状です。しかし、本当にその人の人生を豊かにするのは、ものやお金よりも、心のふれ合いなど、目には見えないものなのです。

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物質主義、拝金主義、刹那主義、人間を道具としてみる主義、利己主義。
どれにも理由がある。

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根本的には人間はマズローが提出した欲求のピラミッドにしたがって動いている。
まず衣食住を確保し個人の生存を安全なものにする。
そして性的欲求を満たし、種の保存を確保する。
その後で、最後の目標として、自己実現などのレベルの欲求がある。

人間は日常生活では、
睡眠欲求、食欲、排泄欲求、性欲、承認欲求、不快からの自由の欲求、
この程度が満たされていれば十分なのだが、
現代生活ではこれらはそんなに苦労しなくても手に入る。
性欲と承認欲求に関しては、擬似的なもので満足しておく場合もある。
たいていの人間には大願などはなく、
その日をいつものように変わりなく終えられれば充分である。
会社や学校で与えられるわずかな承認のために、
毎日を捧げている。
基本的な欲求が満たされていれば、人間はもう過激な存在にはならない。
むしろ去勢された牛のようにおだやかな存在になる。
次に自分がしたいこともよく分からない。
自分自身の欲求のありかさえ忘れて生きていける存在なのだ。

眠れない、食べられないとなると深刻に悩んで努力もするが、その部分が回復されれば、またおだやかなまどろみの中の人生に逆戻りである。

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こうした人間として最も基本的な欲求を満たすことが
物質主義、拝金主義、刹那主義、人間を道具としてみる主義、利己主義を
採用すれば実現し易い。
それが現代である。だからこのような主義がはびこる。それだけのことで、不思議はない。

上位の欲求である自己実現を目指すなら、この逆を考えればいいのであって、
もちろん、否定はしないが、物質主義、拝金主義、刹那主義、人間を道具としてみる主義、利己主義の
欠如を補う方向で考えることになる。
つまり、心の大切さ、永遠にながる思考、人間を人格としてみる主義、利他主義、
こうした要素を負荷して、バランスをとることが良い方策となる。

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基本的欲求を満たすために
デパートであれこれ用意してもらい、
家に取り付ける。
それでとても便利になって、その後人間は工夫しなくなる。
一種の退化のような静かな時間を生きることになる。

学校に行かない子供を引きこもりというが、
スーパーと自宅を往復しているだけの主婦はやはり一種の引きこもりだろう。
サラリーマンも会社に引きこもっている限り会社という特殊な場所に適応しているだけで、
一種の引きこもりといえる。