リニアPCMレコーダー 幻聴 ウォークマン

ウォークマンは一時代を画したものだが、あの頃から個々人が勝手な風景を生きるようになったのかとも思う。

そもそもウォークマンという再生専用プレーヤーは、携帯用のカセットレコーダーから記録機能を取り外したものが出発点だ。「プレスマン」という携帯用カセット録音機に音楽カセットを入れてヘッドホンで聞くととても楽しいということを故井深大名誉会長(当時)が発見し、それがウォークマンの開発につながったという経緯は有名な話だ。

リニアPCMレコーダーの記事を読むと確かにおもしろそうである。
マイク付きだとモーターの音が乗ってしまうので開発は難しかったが、最近はメモリーに録音するのでモーターがいらない。
メモリー技術が進歩したので圧縮する必要がない。
この二つの条件がそろって、リニアPCMレコーダーは超高性能になった。いろいろな演奏を手軽に超高音質で録音できるらしい。簡単に言うとCD以上の音質。

しかし現代で言えば録画も同時にしたいわけで、リニアPCMレコーダーとはいえ、個人的には録画できた方がずっと楽しい。ビデオはもうリニアPCMレコーダーになっているのだろうか。

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それはそれとして、ウォークマンが他人との心理的な距離をも変えたのではないかと思う。

最近電車に乗っていて、近くの人のウォークマンが「シャカシャカ」とうるさいということはあまりなくなった。
携帯で音楽も聴けるけれど、別段音楽を聴き続けているわけでもない様子だ。
むしろメールを見たり、ゲームをしたりしている人が多いと思う。

このままではみんなが難聴になってしまいそうだったけれど、そうはならなくてすむらしい。

考えてみればウォークマンは実に手軽に自分に閉じこもることができる機械だった。
iPodが一時的に流行したが、電車で見る限りではそれほど聞いているようでもなく、
音楽というジャンルそのものが一時代のものであって、
画像+音楽が人間としてはやはり普通なのかと思う。

音楽を聴くときにもやはり映像があった方が楽しいので
You Tube などの方がいい。

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考えてみれば、
音だけが存在して映像が存在しないというのは
幻聴とウォークマン(再生音楽)くらいではないか。
音がするなら音の主がそこに物理的に存在しているはずなのだ。

幻聴が聞こえたときに何にビックリするかといって、
その内容も主に被害的な内容で「死ね」と言ってくるので問題だが、
誰もいないのに聞こえると言うことが実は一番のビックリである。

幻聴で苦しんでいる人が
ウォークマンで音楽を聴いて幻聴を抑えていることもある。

人間の生活でいえばかなり特殊な事態である。

携帯電話も似たようなところがある。

電波で声が飛んでくるなら
幻聴になってもまあいいかなとか思う人もいるかもしれない。