拒食症・大食症・食べ吐きの鑑別

拒食症も大食症も、食べ吐きも、困ります。
そうはいいつつも、女性はみんなできるならスリムでいたいのです。
なぜでしょう。

男性がスリムな女性を好むから、女性はスリムになりたいのでしょうか。
多分、そうではないと思います。
男性は、健康な女性が好きかもしれません。

女性は、自分たちで、理想の体型を決めていると思います。
男性の好みとはあまり関係なしに。
宝塚的状況と言いましょうか。

女性とマスコミが相互干渉して、
理想の体型を決めているのではないでしょうか。

ビデオまたは写真の、理想像は、目の前に現れたら、多分、とても不健康な様子だと思います。
でも、そのイメージに引きずられて、
意志の強い強迫性傾向のある人は、
ダイエットを実行します。
そしてそのあとリバウンドして、大食し、吐くようになり、といった典型的な経過をたどります。

普通、母親は心配して、もっと太れ、もっと食べなさいと命令し、嘆願し、
娘と対立関係になります。

自尊心
他人に存在を認めてもらうこと
努力を評価してもらうこと
存在を肯定してもらうこと
そのような対人関係の基本がむき出しになってきます

その場合、まず診察室で、鑑別が必要です。
実際、本物の、拒食症は存在し、大食症も存在します。
それは寂しさや対人関係といったレベルのことではなくて、
もっと身体的で器質的で、食欲調節中枢の問題のような気がします。
小児科には、拒食症の小学生男子が入院して、佃煮ばかり食べていました。
この人は、「モデルのような体型になりたい願望」とは無縁です。

また一方で、拒食、大食、食べ吐きは、表面に現れた症状に過ぎず、
本当の問題は、
家族関係であったり、対人関係であったり、
つまり、生育歴の問題だったり、現在の環境の問題だったりすることがあります。

会社で能力に合った処遇がされていないとか、
家庭で夫に無視されているとか、
姑に無視されているとか、
典型的な例です。

また、環境の問題ではなく、
統合失調症や躁うつ病や人格障害その他、病気の症状であることがあります。

つまり、拒食、大食、食べ吐きが問題となっているとき、
主な鑑別は、
1.狭義の本来の摂食障害
2.環境との不適応の結果としての一症状
3.精神的疾患の一症状
ということになります。
それぞれに治療が必要です。