「日本人の2割、不眠に悩む」 うつ病の兆し注意を

日本人の5人に1人は何らかの不眠で悩んでいると言われており、まさに不眠症は国民病と言えます。しかし、誰もが、いつでも8時間の睡眠が必要というわけではなく、その人にあった睡眠を目標にすることが大切です。

 良い睡眠を取るには、昼間の過ごし方も重要で、例えば、午前中に光を浴び、昼間はある程度活動することなどが良い睡眠につながります。

 不眠が起こると、日本人は医師に相談せずアルコールを飲む人が多いという調査結果がありますが、アルコールで睡眠を得ようとすると、徐々にアルコールの量が増えたりして、質の悪い睡眠になってしまいがちです。

 睡眠に対する正しい知識を持ち、その上で、医師の指導のもとに睡眠薬を適切に使うことも必要です。

 不眠を訴える人の5人に1人はうつ病で、不眠を訴えていた人は、うつ病になりやすいと言われています。

 うつ病の時には、夜よく眠れず、眠りも浅くなってしまうので、途中で目が覚めてしまい、もう一度、寝付くことがなかなか出来ない。朝起きてもすっきりせず、いやな気分になってしまいます。つまり、不眠がうつ病の症状の一つとして起こっている場合が多いということです。

 うつ病患者は、「ものの見方が否定的」になり、「医師にかかってもどうしようもない」といった考えが強く、適切な治療を受けていない傾向があります。うつ病から自殺する方々も多く、専門医を受診されていないことが分かっています。

 「ものの見方が否定的」になると、「自分は不必要な人間だ」などといった考え方に結びつき、辞職や離婚など、結果的に本人を取り巻く環境が悪化してしまうので、早めに治療を開始することが大事です。

 うつ病の可能性に気づいた周囲の人は、医療機関への受診を勧める必要がありますが、本人が受診を拒否する場合は、「不眠の治療からスタートしよう」と受診を勧めることも一つの方法だと思います。

 高齢者がうつ病になると、自殺に結びつく危険性が高く、注意が必要です。また、うつ病と認知症との区別がつきにくいことがあります。認知症に対しては、進行を抑える薬も開発されているので、ためらわず早めに医師に相談してください。