可能な奇跡

時計の秒針とともに失われてゆく病身。

どの病者にも一秒は一秒である。
しかしその密度は明らかに違う。

ある場合、
一生に値する貴重な一瞬がある。
そのとき時間は止まり、
祝福は長く続く。
こぼれだす命の液よ。

赤福も時間を止めてお祝いだ。

その一瞬に過去も未来も凝集するような、
そのような頂を、人は生きることが可能なのだ。
それは可能な奇跡なのだ。