カロリー制限と寿命

カロリー制限と寿命についての話を読む

そもそもは1935年にラットについて、食餌制限すると寿命が延びると報告されている。
2005年には
特定成分の制限によるものではないこと、(たとえばビタミンやうなぎのたんぱく質)
毒物の減少ではないこと、(たとえばマグロの水銀)
カロリー制限がその本質であることが言われている。

寿命を最大にする摂取カロリー量が確かに存在するはずで、
食餌自由摂取時の50―70パーセントと報告されている。

これは本質的な老化の制御ではなく、
老化を促進する何らかの要因を軽減しているのではないかとも
言われている。(結局同じだと思うが)

カロリー制限がなぜ有効なのかについては、
アディポネクチンなどで言われているような脂肪組織の減少説、
酸化ストレス軽減説、
アポートシスによる細胞減少の抑制説、
などがあるがはっきりしない。

おもしろいのはホルメシス説である。
Hormesisとは毒物学でいわれることで、
ほんのちょっぴりの毒は、刺激になっていい、くらいの話だ。
カロリー制限すると体が目覚めて、
生存に向けて遺伝子発現型phenotypeを変化させる。

Sirt1部位はカロリー制限に有効かもしれないと提案されていて、
ここを調整する物質を考えることで、摂食行動を管理するという考えらしい。
カロリー制限模倣物と表現されている。

日本にいるとあまり感じないが、
アメリカでは深刻な問題だという。

日本のデータとしては、沖縄の例がある。
1970年当時は、
沖縄は長寿地域で、
本土に比較して、脳血管障害、ガン、虚血性心疾患の発生は60-70パーセント、
その原因は、
総カロリーが本土の20パーセント減であること。
総タンパク、総脂肪は差がない。
糖摂取が少なく、
緑黄色野菜が多い。
その後沖縄では食生活が本土と差がなくなり、
特に長寿ではなくなった。

沖縄データは、戦争の事情を考える必要があるかもしれない。

しかし、沖縄の昔の食生活は参考になる。
北に行くほど食塩が多くなり高血圧が多かった印象である。
雪に閉ざされてしまうと、
緑黄色野菜どころではない。

沖縄は食生活の他に生活のパターンも、気質も、
ストレスも、その解消の仕方も、違うと思う。

芸能界での沖縄出身者の活躍は
遺伝子がどのように作用しているのだろう。
分かりやすい苗字もあるが、
今日の新聞の山田優なども沖縄だという。
歌って踊る遺伝子と言っていいかもしれない。
選挙で当選しても、踊っていることもあった。

ヒトにおいて、どのようなカロリー設定がいいのか、いまだに不明。
老年期以降にカロリー制限をすると、
急性ストレスに対する適応が悪くなる、
感染症に弱くなるなどの問題がある。
総カロリーの他に、脂肪、コレステロールの制限が必要なのではないか。
カロリー制限は認知機能を改善するのではないか。
アルツハイマーモデルマウスやパーキンソン病モデルマウスで、
カロリー制限が発症を抑制すると報告された。
ヒトの場合にどうかはまだ不明。

ADLとかQOLの改善維持はどのあたりが大事かの考え方にもよると思う。
若い頃の信念や価値観と、老人になってからの感じ方は違うだろう。

若い人たちを見ていると
明らかにカロリー制限を意識して生活している。
広告でも「やせる」手段が次々に提案される。
うつ病・うつ状態とどう関係しているのかは、難しい。
月経障害や骨粗しょう症は関係していると思う。

この人たちの寿命がどのようなものになるか、問題だ。
現在80歳くらいになっている人たちは、
やはりある程度強い人たちだったのだと思う。

現状で多分充分にカロリー制限生活になっているはずで、
これ以上の制限は必要ないと思われる。
閉経後の変化が強く出るかもしれない。