うまれなかった者たちだけが、真実・恩寵を知っている。

人間に自由意志はない。
ただ物理法則に支配されているだけである。
それが理解できないのは、理性が足りないからである。

赤ん坊の頃にもう一度だけ脳神経細胞が分裂して、
脳神経細胞の数が倍になればよいのだが、
そうなった場合には、産道を通ることができず、生まれることができない。
産道の狭さが人間の理性の限界である。

うまれなかった者たちだけが、真実を知っている。

そのように固定したあとで、
帝王切開術が見出されたが、
もはや意味はない。
あと十万年必要である。

しかしながら、理性が届いたとして、
発見するのは、ただ、自由意志の不在である。
あまり意味はない。

意味があるとすれば、
神の恩寵がもっとくっきりと見えることだろう。

澄んだ目には神の恩寵がくっきりとまぶしく見える。
禅を組んだときのよう。
冬の湖のほとりに立ったときのよう。