自己愛的ピッチャー

口ではチームが勝つことが第一と言い続けるが、
実際は好き勝手な球で勝負している。
それがやりたいから、ピッチャーでいるのだと思う。

昔で言えば、江川が、ストレートにこだわって
いつまでも山本浩二にホームランを打たれていたようなものだ。

江夏だって、強烈な自己愛人的部分を発散させていたわけで、
それは自己愛のとてもいい部分だったと思うのだ。

現実の裏付けのない自己愛が問題になるけれど、
誰も生まれつき剛速球だったわけじゃない。

自分を信じる若い一時期は自己愛的でもいい。

桑田という投手は、
若い時期に自己愛を克服してしまったと思う。
エゴもプライドも超越して、勝てばいいと信じるようになったと思う。
個人的な勝負は多分清原との勝負くらいではないだろうか。
すべてのバッターを格下に見ることができたから、
その時点で自分の自己愛にも勝つことができたと思う。

桑田は若い時期にすべての勲章を勝ち取ってしまった。
そのあとは自分の自己愛を克服する戦いだった。
だから終りがない。

こうしてみると、自己愛を克服できたときは、
つまり自己愛を貫徹できたときなのだ。
桑田は自己愛を貫徹できたから、
自己愛を捨てることができたと思う。
一番勝ったから、
チームのためにプライドを捨てることも出来る。

公認会計士さんも、
ジャパン監査法人理事長になれば、
自己愛なんか捨てることができるのだ。
自己愛を貫徹した人間だけが
自己愛を克服して捨てることが出来る。

何が起こっても、
心臓は速くならない。

何が起こっても、
かっとしない。

でも、そこまで行く途中で、
自分のスライダーにうっとりして、
投げ続けるだろう。
そして当分打たれる。
それが人生だ。

今日の杉内がそうだった。
試合の流れを紹介して、9回2アウトまでいって、
ホームランを打たれて同点にされている。

2008-6-22のメモ