日雇い派遣今度は禁止

時給1,300円で1年間2000時間働けば、年収は260万円。

正社員はもっとたくさんもらっている。

おかしいじゃないかということになる。

働いているのに、生活保護以下の生活だとの言葉も新聞にある。

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グローバル経済と言われているが
日本語しか出来なくて特に技能もない人は
グローバルに働くことは全然出来ない。

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日本には昔から問屋とか口利き、仲介がいて、中間搾取をしている。
それでいろんなもののコストが高くなっている。

だからそこをすっきりさせてしまえば
ずいぶん暮らしやすくなるだろうというわけで、
いろいろな動きがあった。

これだけ情報が発達している社会なのだから、
ハローワークで仕事を紹介してもらわなくても、
派遣に登録しておけば、
好きな勤務地、好きな時間、好きな曜日で、好きな期間働けて、
扶養範囲内で働けるんだよと言われていた。

時給はどんどん下がり、
正社員と同じ仕事をしているのに、
同一労働同一賃金ではなくなってきたという。

宣伝されていたように、労働者が時間期間を選べるのではなく、
会社が雇用期間を選べるので、季節雇用が出来て、節約になるのだという。

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中間搾取の件にしても、
中間搾取をしているおかげで生きている家族もいるわけで、
そんな人は町にたくさんいるし、親戚にもいるのだろう。
中間搾取をなくして、商品は安く手に入るけれど、
その人たちは収入を失い、
行政の生活保護か会社の生活保護ともいえるような何かの仕事でしのぐことになる。
結局、誰かが負担していることになる。

中間搾取がいいか、消費税がいいかということだ。

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政府系の専門工事を受注するトンネル会社を作って経営している人がいて、
それはもちろん儲かっていて、安定していて、
われわれ一般人から見れば夢のような仕事なのだけれど、
その人がその仕事に行き着くまでは苦労もあった。
行き着いてからも、すごく儲かると言うのでもなく、
一般と同じように資金繰りに苦労して
社員の給料が高いと悩み、もっと安い賃貸し事務所はないかと探したりしている。
何も変わらない。根本は搾取であり寄生なのだけれど、
そのあとの仕事は一般と変わらず、利益率もたいしたことはない。
結局、従業員とか大家とか取引先とかに「大幅還元」しているのだった。
微妙に雇用を維持して、貨幣の流通を促進しているのである。

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物事は完全に悪というものでも完全に善というものでもない。

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何も政府で決めなくても、
いやなら派遣契約しなければいいだけでしょう、という御もっともな意見もある。
そんなに正社員並みがいいというなら正社員になればいいだけじゃないだろうか。

詐欺的契約をしているわけではなくて、
派遣先も派遣元も労働者も仕組みを理解して詐欺はないのだから
搾取は承知の上で、契約しているので、
なにも国が禁止するとかの問題ではないという。

個人で契約すれば不払いもあるし
ハラスメントもあるし、ちょっとお願いが重なったり、
社長の娘の買い物の相手をさせられたり、
行きたくもないバーベキューパーティもあるし
うんざりなのである。
派遣ならちょっとした研修もあるし、
いやなら会社も変えられるし、
彼の会社の近くの会社も選べるのである。
彼が転勤したら私も別の派遣先を見つければいい。

メリットがあるから、派遣労働を選択する。
メリットがあるから、正社員契約をする。

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農業漁業酪農は派遣労働者以上なのかと
問うてみる。
借金して苗を買い、農耕機械を買い、農薬その他を買い、一年仕事をして、
台風に直撃されたらそれで終わり、大豊作でもやっぱり、終わり。
食糧自給率を上げると突然言われてあわて、
しかし深い考えはなく、すぐに忘れられ、
エビアンよりも安い牛乳を今日も出荷している。

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日雇い派遣で派遣元もまた苦労が絶えない。
派遣先からは、タッチタイピング一分に何ワード、エクセルの技能はこのくらい、
などと指定があり、そんなの派遣にいるはずがないと妥協してもらう。
労働者には、研修をして、会社の要求はこの程度と自己研修目標を設定するが、
誰も到達しない。
会社の要求と労働者の現状はいつまでも食い違ったままなのである。
それでも何とか押し込んでいきましょうというのが派遣屋さんなのであるが、
うまく行くときばかりではない。
厳しい現実にうなだれることもあるのだ。

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日雇い派遣が禁止になったとしても、
海外研修性の労働が問題にならなければ、
特に問題にならずしばらくは経過するのかもしれない。

一部の人が正社員になって、莫大なサービス残業をこなす、
そのほうが仕事は早く進むだろう。
会社はどっちにしてもメリットを確保している。

労働者にとっては、
今まではやめる自由があった。
これからは就職する自由がなくなる。
それだけのことらしい。

本質的に自分たちの仕事を創出しなくてはならないのだ。
その場合に、国にクレクレと言い、会社にクレクレというのはもうやめたほうがいい。