診療報酬案と医療崩壊

診療報酬案が提出された。「医療崩壊」はまったくとどめられないだろう。
診療報酬で医師を産科小児科に誘導すればいいとか、そんな問題ではない。

1.医療事故調について。一言で言えば、反対。以下、参考記事。







医療事故調の早期設立要望 被害者遺族ら、厚労省に










記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年2月14日】



 医療事故被害者の遺族5人が13日、厚生労働省を訪れ、同省が今国会への法案提出を目指している事故原因究明のための第三者組織(医療事故調)の早期設立を求める要望書を外口崇(とぐち・たかし)医政局長に手渡した。


 5人は1999年の都立広尾病院の医療ミスで妻=当時(58)=が死亡した永井裕之(ながい・ひろゆき)さん(67)=千葉県浦安市=と、2000年に東海大病院で長女=当時(1)=を亡くした菅俣弘道(すがまた・ひろみち)さん(40)=神奈川県平塚市=ら。要望書は「第三者組織を事故の再発防止に活用すれば、医療の質と安全性の向上につながる」と指摘。厚労省が昨年10月に公表した原案(第2次試案)に沿った形での組織づくりを求めている。


 外口局長は「事故被害者のみなさんや医療関係者の理解を得る形で立ち上げたい」と話した。


 同局長と面会後に記者会見した菅俣さんは「医療ミスかどうかはっきりしないグレーゾーンについて中立的な機関が判断するようになれば、患者も医療側も納得するのではないか」と必要性を訴えた。


 



 

このようなメディアの使い方が問題。
情報を操作すればなんでもできると思っている人たちが問題との指摘がある。


2.メディアによる報道のあり方。
下記、産経新聞抜書き参照。財政制度等審議会のメンバーも記録。
筆者の岩崎慶市氏がメンバーに名前を連ねている。

医師の多くは、もうなにも言わず「立ち去りたい」と思っている。
マスコミと司法とを相手にして、
良心的な医師たちが「立ち去りたい」と思っている現状をどうするのだろうか。
マスコミと司法は勝つだろう。しかし日本型医療は崩壊するだろう。
マスコミと司法は、自分の巨大な権力を自覚して欲しい。
例えば裁判官や警察官は公僕だが、給料は公務員+αである代わりに、
絶対的な権力とミスに対する刑事罰免責がある。 医師にはない。

3.「トンデモ判決」
いろいろあり。有名なのは、大野病院事件http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/cat2780594/index.html

医師免許がないのにレーザーで脱毛した人が検挙されたとか書かれているが、
そういうのと同じ次元で並べられて考えられるものではないのだが。
活字でスペースをとると、似たものになる。

たとえば、













青森市、争う姿勢 青森市民病院の女児死亡訴訟
08/02/04
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:807610

青森市民病院の女児死亡訴訟:市、争う姿勢–第1回口頭弁論 /青森




 青森市民病院で診察を受けた女児(当時1歳)が死亡したのは医師が適切な診断をしなかったからだとして、東京都杉並区の女児の両親が青森市に約4500万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が1日、青森地裁(斉木教朗裁判長)であった。市側は請求棄却を求めて全面的に争う姿勢を示した。


 訴えによると、女児は昨年3月、青森市の母の実家で体調を崩し、市民病院で2回にわたり診察を受けた。この際、担当医師は点滴を指示したうえで「嘔吐(おうと)が治まれば来院する必要はない」と言い、嘔吐止めを処方して帰宅させた。女児は病状が急変し同月26日に多臓器不全で死亡した。


 両親は「診察時に感染性胃腸炎であることを疑って治療すべきだったのに、適切な診断や治療をしなかった」と主張。市側は「詳細は事実関係を調査の上、準備書面をもって認否する」との答弁書を提出した。【矢澤秀範】



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産経新聞 2007年11月26日 15面
岩崎慶市のけいざい「独り言」

納税者が納得できぬ診療報酬

来年度が改定時期の診療報酬制度をめぐり日本医師会と財務省がバトルを展開している。引き下げを目指す財務省に対し、医師会の主張は5.7%の大幅引き上げだ。
その理屈は「地域医療を支える」「国民の安心を守る」「医療の質を確保する」の3つ。金額換算すると、税・保険料などで何と約2兆円の国民負担増になる。
医師会の言うように、確かに一部地方や産婦人科などの医師不足は深刻である。その原因を先進国に比べて医療費が少ないとか、近年の2回の診療報酬引き下げに求める議論があ る。医師会の主張も同じだ。
だが、果たしてこれは正論か。例えば、保険料や税で負担している公的医療費は、対GDP(国内総生産)比で経済協力開発機構(OECD)の平均を上回っているし、医師数も 毎年3500人以上増えている。
診療報酬だって安くない。公務員に適用される人事院勧告や物価と比較して、まだ下げ幅に大きな乖離がある。医師会は公務員との比較を筋違いとするが、税金が投入されている 以上、それこそ筋違いだろう。
薬価もそうなのだが、税金投入という事実への認識が納税者も含めて希薄なのではないか。
医療費の財源は保険料が半分で、国、地方を合わせた税負担が36%を占める。その使い道の半分は医師などの人件費、つまり診療報酬なのだ。すべてではないが、医師も公費で 食べている。
医師数、診療報酬とも十分なのに、なぜ地方や産婦人科の医師不足、勤務医の激務が問題になるのか。財政制度等審議会の建議がひとつの解を示している。医局制度の問題や開業 医を厚遇する診療報酬体系である。
建議は言う。開業医の年収は勤務医の1,8倍なのに従業時間は少ない。ほとんどが休日・時間外診療をしておらず、週休2,5日制で、往診もないに等しい。それでいて、再診 料など診療報酬点数は病院より高い。
これでは開業医になる医師が増えるはずだし、女性が結婚相手の人気職業に選ぶわけだ。納税者はこんないびつな状態を放置して、さらに2兆円も負担するほどお人よしではある まい。
開業医の診療報酬を減らし、不足する分野に重点配分すれば、税や保険料の負担軽減につながるはずだ。その配分を決める中医協の存在意義も問われている。
納税者が目を開いてチェックしないと、増税は際限がなくなってしまう。
(論説副委員長)

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財政制度等審議会 委員名簿

平成19年8月1日現在




























































































































































<委 員>

 池尾 和人

慶應義塾大学経済学部教授
   板垣 信幸   日本放送協会解説主幹
 井堀 利宏 国立大学法人東京大学大学院経済学研究科教授
   岩崎 慶市 (株)産業経済新聞社論説副委員長
 江川 雅子 ハーバード・ビジネス・スクール日本リサーチ・センター長
   緒方 瑞穂 (社)日本不動産鑑定協会副会長
    勝俣  恒久   東京電力(株)取締役社長
 角 紀代恵 立教大学法学部教授
 黒川 和美 法政大学経済学部教授
 幸田 真音 作家
   河野 栄子 (株)リクルート特別顧問
    残間 里江子   プロデューサー、(株)クリエイティブ・シニア代表取締役社長
 柴田 昌治 日本ガイシ(株)代表取締役会長
   髙木 剛 日本労働組合総連合会会長
 竹内 佐和子 国立大学法人京都大学工学研究科客員教授
 竹内 洋 弁護士
   竹中 ナミ (社福)プロップ・ステーション理事長
 田近 栄治 国立大学法人一橋大学大学院国際・公共政策大学院教授
  田中  直毅   経済評論家
   玉置 和宏 (株)毎日新聞社特別顧問(論説担当)
 寺田 千代乃 アートコーポレーション(株)代表取締役社長
    富田  俊基   中央大学法学部教授
    中林  美恵子   跡見学園女子大学マネジメント学部准教授
 西室 泰三 (株)東京証券取引所グループ取締役会長兼代表執行役
 宮武 剛 目白大学人間学部こども学科教授
 宮原 賢次 住友商事(株)相談役
    村上  政博   国立大学法人一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授
 村田 泰夫 農林漁業金融公庫理事
 矢崎 義雄 (独)国立病院機構理事長
 吉野 直行 慶應義塾大学経済学部教授








 
(注)◎は会長、○は会長代理