ルーランの特性

ルーランを16から24ミリグラム、最高で48くらい使う。
錐体外路症状が出ることがあるが、
不思議なことにテグレトールを組み合わせておくと、
錐体外路症状が出にくい。
これは、
ルーランから一段代謝された産物が、
ドーパミンD2受容体よりも
セロトニン5HT2A受容体に強く働くからで、
その物質はID-15036と呼ばれているが、
ルーランをID-15036のプロドラッグとして考えてよいのではないかとの
提案がある。
ID-15036は薬剤プロフィールとしては、クロザピンに近い特性がある。
テグレトールは、ルーランの代謝に影響して、
ID-15036への代謝を促進する、したがって、錐体外路症状が出にくいのだろうと
推定されている。

また、D2レセプターの占有率が70パーセントで臨床効果が出て、
80パーセントで副作用が出るとの、一応の推定があり、
その点で言うと、
ルーランは、D2親和性が強く、作用時間が短いタイプなので、
一日一回、18-24ミリグラム程度を投与すると、
一日一回は、D2占有率が70パーセントを超え、
しかしその後は、緩やかに占有率が下降して、
結果として、きつい副作用も起こらず、
過剰な占有によるアップレギュレーションも起こらないのではないかと
推定され、まことによい具合なのだ。
きつい副作用が起こらなければ、患者さんは納得して飲み続けてくれるだろうと期待される。

分散して投与すると、70パーセントを超えることがなくなってしまい、
患者さんも服用回数が増えて煩わしい。
一日一回投与にすれば、パーシャルな特性を引き出せるのではないかとの推論である。