An integrated theory of the mind. Anderson, J. R.,

最近よく参照される論文トップ20のなかにあるひとつ。
integrated というだけのことはあり、
理解する側のdisintegratedの具合が分かる。

図を省略しているし、数式も省略しているので
パラメータだけ並べられても何のことか
まったく分からないと思うが、
図と数式を入れてもやはりまったく分からないのではないかと思うので、
一応、閲覧していただければ、
それでいいと思う。

ACT-R5.0の説明で、
バージョンアップするごとに数字が変わる。
すでに6.0まで進んでいる。

コンピュータ屋さんが脳を論じて見せるとこんな具合。
統一アーキテキチャーを考えて、モジュールに下請けさせて、
学習機能を論じ、人間行動の正確なシミュレータとしてどこまで有効かを検証していく。

この方面のアプローチは正道といえるもので、
わたしなら予算をつけたいが、予算をつけていいのかどうかさえ正確には分からないだろう。
100年はかかるだろう。
数値化するにも、何を測定すればいいのか、本当のターゲットがまだ見つかっていないと思う。

*****
An integrated theory of the mind.
Anderson, J. R., Bothell, D., Byrne, M. D.,
Douglass, S., Lebiere, C., Qin, Y.
Psychological Review, 111(4). 1036-1060 (20041)
平成19 年2 月23 日
概要
Adaptive Control of Thought-Rational (ACT-R) と呼ばれるプロダクションシス
テムアーキテクチャが紹介される.このアーキテクチャは,知覚・運動・記憶・問題解
決・学習に関する膨大な生理学的・心理学的知見を集積する.これにより,ACT-R は,
個々の研究を統合する心理学の一般理論となる.工学的に見れば,ACT-R は人間行動
の正確なシミュレータである.領域固有の知識とパラメータの設定により,様々な場面
に対応するモデルが容易に構築される.本論文では,脳内生理データを予測するモデル,
航空管制におけるヒューマンインタフェースを評価するモデルが示される.
はじめに
• 心理学における高度の専門化
– 個別のトピックを扱う数多の専門雑誌
– Psychological review に掲載される専門的トピックを扱う論文の数々
(本来は,様々な分野の研究者が出会う場所であるはずなのに)
• 心は機能に特化したコンポーネントから成り立つという見方の蔓延
– 物体知覚システムと位置検出システムの分離(Ungerleider & Miskin, 1982)
– 脳内での手続き知識と宣言的知識の分離(Squire, 1987)
– 言語に固有の脳内モジュール(Fodor, 1983)
– 数字に固有の脳内モジュール(Dehaene et al., 1999)
– カテゴリ知識に固有の脳内モジュール(Warrington & Shallice, 1984)
– 裏切り者検知に固有の脳内モジュール(Cosmides & Tooby, 2000)
• 設定される問題
– 専門化の流れは領域が成熟した証.しかし,「バラバラな専門モジュールが集まっ
たもの」として心を見ることには満足できない.分解されたモジュールは統合
しなければならない
• Newll (1990) による領域統合の仮説
– プロダクションシステムアーキテクチャによって個別の領域が結合
– Soar が彼のベストな仮説
唯一つの心が全ての行動を生成する.… たとえ心が“ パーツ”,“ モジュール”,
“ コンポーネント”,その他いかなるものを持つとしても,それらは行動を
生成するために統合される.どのような行動のカケラであっても,それが
環境に現れるまえに,認知システムの内部を通過する.もしも,ある理論
がただ一つのコンポーネントのみをカバーするのなら,それは単なるお遊
びである.分離・独立性,非一貫性,モジュラリティのようなことを口に
せずに理論を構築しなければならない.… このような言葉は単純で実用的
な理論を作るのには役立つ.しかし,これらは全体像を提供し,部分の役
割とその存在理由を説明する統合理論の必要性を排除するものではない.
• 著者らのベストな仮説
– ACT-R (Adaptive Control of Thought-Rational)
∗ 1970 年代から開発が進められ,現在ACT-R5.0 がリリースされる(2007 年
現在の最新バージョンは6.0).
– Soar と比べたときのACT-R の利点
∗ 実世界の問題を扱う能力
∗ 認知神経科学的方法によって得られる膨大なデータを統合的に解釈可能
• 本論文の目的
– 認知を構成するパーツがどうやってACT-R に統合されるのかを示す
• 本論文の構成
– ACT-R 理論の記述
∗ 理論の全体像の記述
∗ 知覚-運動モジュールの記述
∗ ゴールモジュールの記述
∗ 宣言的モジュールの記述
∗ 手続き的モジュールの記述
– ACT-R 理論の応用
∗ 実世界における複雑なシステムに対する人間のスキル獲得の理解
∗ 複雑な脳画像データの統合
1 The ACT-R 5.0 Architecture (Figure 1)
• ACT-R5.0 の構成
– 中央実行系=プロダクションシステム
– 周辺システム=モダリティに特化したモジュール
∗ visual module: 視覚的フィールドにおいてオブジェクトを同定
∗ manual module: 手の制御
∗ declarative module: 記憶から情報の検索
∗ goal module: 現在目標としていることと意図を保持
∗ その他,ボーカル・オーラルモジュール(図になし)
– 中央がなければ周辺システムはバラバラ
• プロダクションシステムとモジュールの結合=バッファ
– モジュールに付随
– モダリティに特化した情報の保持
– 容量に制限
∗ 視覚的フィールドの中の全ての情報に気づいているわけではない.現在注
意を向けているオブジェクトのみに気づく
∗ 記憶中の全ての情報に気づいているわけではない.現在引き出している情
報のみに気づく
• プロダクションシステム
– 環境と内なる世界の出会う場所
– サイクル(50ms の見積もり)
∗ バッファのパターンとプロダクションルールの条件部を照合(パターンマッ
チング)
∗ プロダクションルールの選択(競合解消)
∗ プロダクションシステムの発火(実行)
∗ 次のターンでバッファが書き換え
• モジュールと脳内部位との対応(モジュール設定の根拠)
– ゴールバッファ→前頭前皮質背外側部(Braver et. al., 2001)
– 検索バッファ→前頭前野腹外側部(Nyberg et al., 1996)
– マニュアルバッファ→運動野,体性感覚野
– ビジュアルバッファ
∗ 位置検出用のバッファ→視覚野からの背側経路
∗ 物体認識用のバッファ→視覚野からの腹側経路
– プロダクションシステム→大脳基底核
∗ 大脳基底核と皮質はループ的
· 線条体は皮質中の状態を投影=パターンマッチング
· 線条体の状態は淡蒼球(相互抑制性ネットワーク)に投影=競合解消
· 淡蒼球におけるネットワークの勝者が視床への投影=実行
· 少なくとも5 部位の全頭皮質が視床の状態を投影=バッファの書き換え
• 並列処理と系列処理の混合
– 並列性
∗ モジュール内の並列性
· 視覚システムは同時並列的に視覚フィールドを探査する
· 宣言的システムは記憶を並列的に探査する
∗ モジュール間の並列性
· 各モジュールは独立に動作
– 系列性
∗ バッファにおける系列性
· 各時点において単一つのユニットのみ保持(チャンク)
· 各時点において,単一の知識しか呼び出されないし,単一のオブジェク
トのみを認識できる
∗ プロダクションシステムにおける系列性
· 各サイクルにおいて選択されるプロダクションは一つ.ACT-R は中央
実行系のボトルネックがあるといえる.
2 The Perceptual-Motor System
• 視覚-運動システムの位置づけ
– 従来,ACT-R は高次認知のモデル化に専念
∗ 視覚や行動は高次認知と同程度に複雑なシステム
∗ 高次認知だけを研究することだけで手一杯
– 従来のACT-R における問題
∗ 認知が環境から独立
∗ 実際には認知は知覚-運動系から強い影響(身体知や状況論の研究と整合)
– 対策
∗ EPIC アーキテクチャ(Meyer & Kiera, 1997) からの知覚-運動モジュール
の移植
· EPICアーキテクチャは知覚-運動の正確なモデルを目指していない(セ
ンサやエフェクターなどは持っていない)
· 近似的なモデル化(知覚ー運動系に要する基本的時間の見積もりとコン
ピュータ上の実装)
∗ 限界はあるものの,当面は有効
• ACT-R における知覚-運動システムの特徴
– 位置検出と物体知覚を分離
– それぞれはそれぞれの機能に特化したバッファ
• 位置検出モジュール
– 入力: 欲しいオブジェクトの属性-値(color: red, vertical: top)
– 出力: 制約に適合するオブジェクトの位置を表すチャンク(vertical: top, horizontal:
middle),そのオブジェクトの基本的特徴(色,形状)
– 複数の物体が制約に適合する場合,一方の物体の位置がランダムに削除
• 物体知覚
– 入力: 位置のチャンク
– 出力: オブジェクトの名前などの宣言的チャンク
– プロセス=眼球運動(注意の移動)
∗ 大まかな注意の移動: 距離に関わらず185ms で注意を移動
∗ 正確な注意の移動: 現在の眼球位置と目標物との距離に依存
• 知覚モジュールの並列性(Schumacher, 1997; 2001)
– 課題
∗ Visual-Manual Task
· ○が画面の右・中央・左のいずれかに出現
· ○の位置に応じたキー押し[○--] →左のキー,[-○-] →中央のキー,
[--○] →右のキー
∗ Aural-Vocal Task
· 220Hz, 880Hz, 3520Hz のトーンの提示(40msec の持続時間)
· トーンの高さに応じて発声
· 220Hz → 1 と発声,880Hz → 2 と発声,3520Hz → 3 と発声
– 実験試行
∗ それぞれの課題のトレーニング(数日間)
· トレーニング後のVisual-Mannual 課題の遂行時間279ms
· トレーニング後のVisual-Mannual 課題の遂行時間445ms
∗ 並列課題のトレーニング
· トレーニング後のVisual-Mannual 課題の遂行時間283ms
· トレーニング後のVisual-Mannual 課題の遂行時間456ms
– 結果
∗ 並列課題のコストがほぼなくなる
• 並列行動のモデル(Figure 2; Byrne & Anderson, 2001)
– プロセス=系列処理のパラレルスレッド
∗ 視覚刺激の位置検出(ビジュアルモジュール)
∗ 「VM課題に対する反応+ AV刺激の知覚」ルールの発火(認知モジュール)
∗ AV 刺激の検出& VM刺激反応の準備(マニュアルモジュール,聴覚モ
ジュール)
∗ AV 刺激の反応ルールの発火(認知モジュール)
∗ AV 刺激への反応(スピーチモジュール)
– 結果(Figure 3)
∗ 心理実験と同様,並列課題のコストはほとんどない
∗ ギャップはビジュアルモジュールのノイズに由来するプロダクションルール
の待ち時間
3 The Goal Module
• ゴールモジュールの位置づけ
– 人間の認知は確かに身体化.だが,それが人間と他の生物とを区別するわけで
はない
– ゴールの管理こそ人間のなせる業.ゴールの保持によって,人間の行動は一貫
したものになる
• ゴールの管理に関する神経科学的研究
– 前頭前野を損傷した患者からしばしば観察される振る舞い=文脈と適合しない
行動(串をみたら,常にとかす)
• ゴールの管理に関する行動実験(Anderson & Douglass, 2001)
– ハノイの塔課題におけるサブゴールの効果
∗ Disk 4 をPeg C へ動かすためには,Disk 3 をPeg B へ動かさなければな
らない.そのためには,Disk 2 をPeg C へ動かさなければならない.その
ためには,Disk 1 をPeg B へ動かさなければならない.
– 問題解決の正確さと時間はサブゴールの数の関数
• ゴールの管理に関する脳画像研究(Fincham et al., 2002)
– 実験
∗ サブゴールの数の異なるハノイの塔課題を提示
∗ 16 秒以内に第一手を想像
∗ fMRI によって4 秒ごとに脳をスキャン
– 結果(Figure 4)
∗ BOLD 反応はサブゴールの数の関数
∗ 複数部位にて反応が観察
∗ ゴールは複数の部位に分散して管理
· DLPFC: 一般的な認知の制御
· Partial region: 問題状態の保持
· premotar region: 運動プラン
4 The Declarative Memory Module
• アーキテクチャにおける宣言的モジュールの役割
– ゴールモジュールは問題解決エピソード単位のローカルな一貫性を管理
– 宣言的知識モジュールは個人単位の長期記憶における一貫性を管理
– 3 + 4 = 7 のような知識を保持
• 宣言的モジュールの制御
– 活性化プロセスに従った知識(チャンク)へのアクセス(Figure 5)
– チャンクi の活性度(Ai):
チャンク固有の活性値と結合するチャンクからの影響によって決定
∗ Bi: ベースレベルの活性値
∗ Wj : 現在のゴールの状態を反映した重み
∗ Sji: 要素j からチャンクi への連想強度
– 重みWj
活性化のソース(現在のゴールと関連したチャンク数)の数で分割
Wj = 1/n
∗ n: 活性化のソースの数
– 連想強度Sji の定義
結合するチャンクの保持する連想数が多いとき小さい影響
Sji = S − ln(fanj)
∗ fanj: 要素j と結合する事実の数
∗ パラメータS のデフォルトは2
– ベースレベル
検索パターンを反映した非線形の学習関数(忘却のベキ乗法則)
∗ n: 過去の検索回数
∗ d: 忘却パラメータ(デフォルト.5)
∗ tj: j 番目の検索からの経過時間
– 検索確率
活性値が閾値を上回った時に検索.ただし,ノイズを含む.確率は
∗ s: ノイズパラメータ(平均.4)
∗ γ: 閾値
– 検索時間
活性値に依存して減少
Ti = FeAi (latency of retrieval equation)
∗ パラメータF の見積もり
F ≈ 0.35eγ,
· Ai = γ のとき,0.35 の遅延時間
• 宣言的事実の検索(Pirolli & Anderson, 1985)
• 実験
– 結合する関係数を操作した事実の記憶(hippie was in the park)
– 人と結合する事実の数は1-3 / 場所と結合する事実の数は1-3 (Figure 6)
– 10 日間にわたる学習
• ACT-R モデルとのフィッティング
– 活性値の見積もり(Figure 7)
∗ fan の数と練習によって変化
– 反応時間の推移
∗ fan の数と練習によって減少
∗ モデルとデータの良い適合
5 Procedural Memory
• プロダクションシステムの役割
– モジュールをつなげるもの
– プロダクションシステムがなければ,上記モジュールはバラバラ(従来の理論
と同じ)
• ACT-R におけるプロダクションシステムの特徴
– Adaptive Control of Thought
∗ Control →競合解消
∗ Adaptive →学習能力
• ACT-R におけるルール間の競合解消
– サイクルごとに計算されるユーティリティに基づく
– ルールi におけるユーティリティ(Ui)
成功率とコストによって決定
Ui = PiG − Ci,
∗ P: 過去の成功率
∗ C: 見積もられたコスト(ゴールまでの推定時間)
∗ G: 課題に固有の定数
– プロダクションi の選択確率
適合するルール全体とのユーティリティの比率によって決定
– 過去の成功率の見積もり
成功数とルール発火数の比率
P = Successes
Successes + Failures
∗ Sucesses: 成功数
∗ Failures: 失敗数
– ただし,単純に成功数と失敗数にするのでは問題が生じる.第1 試行で成功し
たもののユーティリティが極端に高くなってしまう.よって,
Sucesses = θV + m, Failures = (1 − θ)V + n
これにより,第1 試行で成功したルールが得る成功率はθ となる.経験が蓄積
するに従い,θ の影響が弱くなる.
• 確率学習の実験とシミュレーション(Friedman et al., 1964)
– 実験
∗ 2 つの部屋のスイッチの提示
· スイッチ1; 90%の確率で部屋を明るくする
· スイッチ2: 10%の確率で部屋を明るくする
∗ 課題
· 確率を知らされない状態で,部屋を明るくするスイッチを選択
· 12 回のトライアルからなる4 ブロックの試行
– ACT-R によるシミュレーション
∗ 2 つのルールを用意(スイッチ1 を押す/スイッチ2 を押す)
∗ スイッチ1 を押すルールの選択確率
· P1: スイッチ1 を押すルールの成功率
· P1: スイッチ2 を押すルールの成功率
∗ スイッチ1 を押すルールの成功率
– 結果(Figure 9)
∗ 理論とデータの良い適合
• もう一つのルール学習(新たなルールの生成)
– コンパイル: 系列的に発火する2 つのルールの纏め上げ
∗ 2 つのルール
IF ペア連想テストにおいて単語を読む
その単語に注意が向いている
THEN 単語と連想関係にあるチャンクを検索する
IF ペア連想テストにおいて想起中である
N が検索されている
THEN N とタイプする
∗ チャンク
· 宣言的知識: バニラ-7
· 刺激: バニラ
∗ 新ルール
IF ペア連想テストにおいて単語を読む
その単語に注意が向いている
THEN 7 とタイプする
– 新ルールは宣言的知識の内容を含む
• 新ルールのユーティリティ
– 新ルールNew を適用できるときは常に古いルールOld1 を適用可能
– 新ルール成功率の初期値は0(θ = 0)
– 新ルールのユーティリティは何度も作られることで,徐々に増加
Δθ = a(P − θ)
∗ P: Old1 の成功率
∗ a: 学習係数
– 学習後,New のユーティリティはOld1 を上回る
6 Putting It All Together: The Effects of Instruction
and Practice in a Dynamic Task
• 認知アーキテクチャの応用
– トレーニング・チュータリングシステム(Anderson, 2002)
– 戦争シミュレータにおける兵士のエージェント(Jones et al., 1999)
• 応用における統合アーキテクチャの利点
– 特定のモジュールに特化しないタスク
• 応用可能な認知アーキテクチャの要件
– postdict ではなく,predict すること(パラメータフリーであること.単純な心
理実験によってパラメータを見積もっておく)
– 恣意的な仮定なしにルールを実装できること(教示からのコンパイルにより対処)
∗ マニュアルや教示文を宣言的知識に格納
∗ 初期のルールはそれを解釈するだけのもの
6.1 The Dynamic Task: The Ani-Air Warfare Coordinator
• 課題
– イージス艦(防空巡洋艦)の司令官(AAWC)の役割
– 航空機を制御するレーダを使用し,航空機の分類
• インタフェース(Figure 10)
– レーダー
∗ レーダ中の□: 航空機(直線: 速度・移動方向)
– 画面左上: 選択中の航空機に関する情報(ALT: 高度,SPEED: 速度)
– 画面下側: ファンクションキーに対応(F6 → [Track Manager] の起動)
∗ どのような機能が利用できるかは状況によって異なる
∗ キー押し後に新たな機能が表示
• 操作系列(Figure 11)
– Selection: 航空機の選択
マウスで選択
– Search: 航空機の同定
∗ 画面左上の情報を参照 
· 速度と高度が一定以内→一般機
∗ EWS キー(F10) の利用
· レーダープロファイルの起動
· 航空機の種類を自動的に同定(失敗する場合あり)
· 航空機の同定に失敗した場合→他の航空機を選択
– Execute: 航空機の入力
∗ ファンクションキーの系列を利用した入力
Track-Manager(F6) →航空機の目的(4 種類)/タイプ(10 種類)の入力
(F4/F7) → Save (F1)
6.2 The Experiment
• 16 名の被験者
• 20 シナリオ(各6 分)を2 日にわたって実施
• 初日にインストラクション(Apendix)
• シナリオの構成
– ランダムに配置された40 トラック
– 眼球運動の記録
• 結果(Fig. 8): パフォーマンスと速度の向上
6.3 The Model
• パラメータ
– プロダクションルールのサイクル50ms
– EPIC と同じモーターモジュール
– 視覚における符号化時間85ms
– d = 0.5
– s = .4
– γ = 1.0
– F = 1.0
– t = .05
– V = 10
– a = .05
– 文字を読む時間200ms
– 教示は全て宣言的知識に格納・教示を解釈するルールを用意
• 上記パラメータはほぼデフォルト(パラメータフリー)
6.4 The Speed Up in Task Performance
• Figure 12 にサブタスクごとのモデルとデータの実行時間
– よく一致
• ゴール構造の変化(教示12 と13 に対応)
– Figure 13 上段: 実験初期
– Figure 13 下段: 実験後期
– 初期から後期にかけて,ルールを媒介するゴールが極端に変化
– 速度変化の要因は,メニューの場所を記憶したこと,余分な宣言的知識の検索
をコンパイルしたこと
• タスク全体での時間変化(Figure 14)
– データとモデルの良い適合
– プロダクションルールの学習とメニュー位置の学習の両者があってよい適合が
得られる
6.5 Eye Movements
• サブタスクごとに注視していた場所(Figure 15)
– Selection フェーズではモデルとデータのほとんどがレーダを注視.メニューは
ほとんど見ていない.
– Search フェーズではモデルとデータのほとんどがインフォメーションパネルを
注視
– Excute フェーズではモデルとデータのほとんどがメニューを注視.メニュー位
置の注視割合は徐々に減少(位置を覚えたことに由来)
6.6 Summary
• 少数のパラメータを与えただけで多くのデータの予測に成功
• 学習の特徴は認知モジュールから知覚-運動モジュールへのシフト(宣言的知識のコ
ンパイル)
7 Putting It All Together: Tracking Multiple Buffers
in an fMRI data
• 脳画像研究の問題=膨大なデータをどのように解釈してよいかわからない
• 統合アーキテクチャの使用によって,複数部位を結合する解釈が可能に
7.1 The Experiment
• 課題
– シンボル操作課題↔の左側にP のみ残す
– 必要なステップ数は0-2
– 頭の中でシンボルを操作し,結果をキー押し(3-5-3-4)
– 5 日間の練習
• fMRI の記録
– 初日と最終日
– 3 部位を記録(検索バッファ・モーターバッファ・ゴールバッファ)
– 18 秒間の記録(3 秒において刺激の提示.最も遅い試行よりも長い時間)
– 1.5s ごとにスキャン
– BOLD 反応は実際の脳内反応の5 秒後に来ることが知られている
• 結果
– Figure 18 上
∗ 複雑性の効果: 複雑さに応じてBOLD 反応が遅延(形状には変化なし)
∗ 練習効果: 5 日目はより素早いBOLD 反応(形状には変化なし)
– Figure 18 中
∗ 複雑性の効果: 複雑さに応じてBOLD 反応が遅延し,形状も変化
∗ 練習効果: 若干早くなっている
∗ 符号化しなければならない情報の量は,練習によらず一定
– Figure 18 下
∗ 複雑性の効果: 複雑さに応じてBOLD 反応が遅延・形状も変化・0 はベー
スラインと差がない
∗ 練習効果: BOLD反応の量が減る
∗ 学習によって検索すべき知識量が減少した
7.2 The ACT-R Model
• プロセスチャート
– イマジナルバッファ
∗ ゴールバッファの一部と仮定
∗ 現在の問題表現を保持
∗ 操作時間200ms
– ステップ
∗ 準備(知覚モジュール)
↔の位置を同定(知覚モジュール)
∗ 問題表現の構築(イマジナルバッファ)
サインの右側の文字をエンコード
サインの左側の文字をエンコード
∗ 宣言的知識の検索
記号の意味に関する知識
適用可能な引数の位置に関する知識
∗ サインの右側の文字の削除(イマジナルバッファ)
∗ 出力(モータバッファ)
– 必要サイクル
∗ イマジナルバッファでの処理
· 0 変換条件では5
· 1 変換条件では8
· 2 変換条件では10
∗ 必要な宣言的知識の数
· 0 変換条件では0
· 1 変換条件では2
· 2 変換条件では5
∗ モーターバッファ
· 条件間で必要なサイクル数に違いなし・タイミングのみ異なる
– 学習メカニズム
∗ コンパイルなし
∗ 宣言的知識のベースレベルのみ変化
∗ 検索時間650ms → 334ms まで減少
– BOLD 反応の予測
∗ イベントからt 時間後のBOLD 反応(Boyton et al., 1996; Cohen, 1997)
B(t) = tae−t
· 指数a はノイズパラメータ(2 - 10 の範囲)
· t=a において最大のBOLD 反応
∗ 時間x においてfMRI によって観察されるBOLD 反応
· M はfMRI の装置に固有の定数
· s は遅延尺度
· i(x) はバッファの活動(活動時は1,そうでないときは0)
∗ パラメータの見積もりTable 1
· このパラメータはデータからのフィッティングに基づく
· しかし,だからといって無意味なわけではない
· パラメータは正確な曲線をだすためには必要だが,条件差には影響しな
い(パラメータフリー)
7.3 The Basal Ganglia
• プロダクションシステムの所在とされる大脳基底核では何が起きているか
– 初日と最終日における大脳基底核におけるBOLD 反応(Figure 20)
– 日による大きなパターンの違い
∗ 初日は多きな反応,最終日はほぼベースライン
∗ この違いはコンパイルの頻度を反映しているのかもしれない
∗ モデルとのフィッティングは現在のところできていない
8 General Discussion
• 本論文では認知のパーツをつなぐものとしてACT-R を示した
• ACT-R は唯一の統合アーキテクチャではない(Soar, EPIC)
• だが,ニューラルネットは認知の統合を目指しておらず,それとは明確に区別できる
• また,現在のACT-R の実装・パラメータが必ず正しいと主張しているわけでもない
• 重要なのはACT-R が専門化された心の研究を統合することである.
• このようなアーキテクチャがあるおかげで,それぞれの研究がどの位置にあるものな
のかを意識できる
• ACT-R の目指すものは心に対する一貫した捉え方を作ることである
• そして,本論文で示したモデルの数々は,ACT-R にいくらかの真実が含まれている
ことを示す