インターネットの普及と“心の問題”

インターネットの普及と“心の問題”
2005年08月01日
 インターネットの利用者は2000年ごろから爆発的に増え続けています。パソコンを利用した情報の収集やネットショッピングなどに加え、不特定多数の人とのやりとりを楽しむチャットや掲示板も広まっています。

 また、パソコンだけではなく、携帯電話を利用してインターネットメールを楽しむ人も増加しています。最近は、新しいコミュニケーションツールとして、インターネット上で日記を公開する「ブログ」も急速に普及しているようです。

 しかし、こうしたインターネットの急速な普及を背景に、メールやチャットなどに極度にはまり込んでしまい、社会生活にも影響が及ぶような「インターネット依存症」の患者の増加が問題になっています(「知らない間に心や体を侵す『ネット依存症』」参照)。

 一方、携帯メールやインターネットなどの利用が進むことで、家庭内での会話が少なくなり、子どもの心の発達に影響が出ることも懸念されています。実際、テレビやビデオを長時間見ている乳幼児では、言語の発達が遅れる危険性があること(「長時間テレビみる乳幼児に言葉の遅れ」参照)や、携帯電話の利用が、中学生の行動に悪い影響を及ぼす可能性があることを示唆する調査結果も報告されています(「携帯電話持つ中学生は非行に走りやすい!?」参照)。

総務省の調査によれば、インターネットの利用者は、昨年末で8000万人近くに上り、普及率も6割を超えました。1997年にはわずか1割だったのに比べ、7年間で6倍にも増えたことになります。なお、2001年と2004年について、年代別にインターネット利用率を比べたところ、60歳以上の高齢者の利用率が2.43倍と大幅に増加していたのも注目されます。  
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警察庁が設置した青少年問題調査研究会による無記名調査の結果です。対象となった一般中学生は6府県(宮城県、千葉県、石川県、大阪府、岡山県、大分県)の960人、非行中学生男子は全国で検挙・補導された374人。携帯電話の所持状況をみると、非行少年は一般少年に比べ、携帯電話の所持率が2倍以上に上りました。また、「携帯電話がないと落ち着かない」「携帯電話を常に見えるところに置いている」といった携帯電話への依存度も非行中学生の方が高い傾向がみられました。  
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  2003年、3地域(首都、中核市、農村地区)の1歳半健診の対象となった子どもの親に、無記名式の質問紙を配って得られた回答(約1900人)の解析結果。テレビの視聴時間が4時間以上の乳幼児は、4時間未満の乳幼児に比べ、有意語(意味のある言葉)を話す時期の遅れが1.3倍になっています。また、乳幼児が4時間以上テレビを視聴し、家族が8時間以上テレビをつけているグループは、乳幼児のテレビ視聴が4時間未満、テレビがついている時間が8時間未満というグループに比べ、約2倍も有意語出現時期が遅れています。
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