欲求の階層

マズローだけが有名だが
次のような考え方もある。

生物学的メカニズムがあり、限度のあるもの。
食欲、性欲など。
限度のないもの。
自己愛、攻撃性など。

食欲、性欲などの一次的な欲求が満たされると、二次的な欲求である自己愛などが優先されて支配原理となり、しばしば食欲や性欲は自己愛満足のための道具となる。

食欲は拒食やダイエット、さらには過食嘔吐で女性たちが苦しむのであるが、
彼女たちは生存のために食べるのではない。
子孫繁栄のために食べるのでもない。
異性にもてたいからダイエットするのとも違う。
主に自己愛のために痩せたい。鏡を見るときのために痩せたい。
クラス会に出るときのために痩せたい。

性欲はもちろん子孫のためにではないし、自分の快感のためでもないだろう。
女性の多くは失快楽的である。男性を満足させるために応じているだけの人も多い。
ただ奉仕のためと割り切っている人も多い。
手料理を作るのと似た感覚らしい。
むしろ、自分らしい性のあり方というものが大切のようで、多様化している。
そのようにして自分を確かめたい様子だ。自分がどんな存在であるかを確認する。
そして自己愛を満足させる。

自己愛に従属した食欲や性欲になっている。

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攻撃性について、際限がないと書かれていることがあるが、
動物一般については、攻撃性は自動制御されていて、
最近では少し怪しいかもしれないのだが、従来は、
攻撃性によって集団内での序列が決まればいいだけであって、
首を噛む格好をして勝負を付けたり、マウンティングをして勝負を付けたり、
そんなことのようで、集団内の他の個体を殺してしまうことはあまりないといわれている。

攻撃性は殺すこととも違うのであるが、
人間の場合のように際限もなく攻撃性を発揮しているのも珍しいらしい。

性欲についても、動物は一般に季節限定であり、
他の季節には中性的に暮らしている。

攻撃性によって、無駄とも思われるほどの食料を独占したり、
無駄とも思われるほどのメスを独占したりする。

人間の場合、攻撃性を抑制する回路がかなりゆるんでいるのだろう。
使い切れないほどのお金を独占的に所有したりする。
大金を持つといろいろな種族が近寄ってくるのだと思うが、
そんな中で攻撃性が亢進して余計な物にお金を使ったりする。
そしてお金はトリクルダウンして周囲にしたたり落ちる。

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食欲や性欲は部品とも考えられる。
自己愛の重要なパーツになっている。

ED薬品が珍重されるのも性欲そのものが問題なのではなく自己イメージが問題なのであって、
自己愛の一成分である。

単に食べるならば、体を動かして疲れたあとに、とってもおなかが空いて、
庭で取れたての野菜をさっさと食べるのがいいのかもしれない。
しかしまた、いろいろな解説付きの食事を、レストランで、給仕されながら食べることを
快楽と考える流儀もあるのかもしれない。
純粋な食欲というよりも、自己愛的食欲満足である。

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拒食や過食の場合には、
自己愛を否定する醜い欲望が食欲である。
どんなに否定しても卑しく空腹がおそってくる。必ず負ける。それが体の仕組みだから。
さらには過食したあとに必ず吐いて、食欲に敗北した分を埋め合わせている。
食欲と自己愛がシーソーゲームを展開している。