パリの町

初めてのパリの街は悪い印象が勝っていた
美術館はすばらしかった
オルセーに併設されていたレストランも満足できるものだった

しかしホテルが悪かった
旅は後半でそろそろ日本食が恋しくなっていた
パリの街にあったラーメン屋に行って高い中華そばを食べた
別の日は、ボストンバックに入れていた「一平ちゃん」というカップ麺があり、それを食べようとした
ホテルの職員に電話で、Hot Waterと言ったけれど、沸騰してはいなかったので、
再度、fresh boiled water とかなんとか言ったのだろうか
少しはましなお湯が出てきて
それで一平ちゃんを食べた
ホテルの部屋にはお茶がなかったのでボンマルシェで紅茶と日本茶を買った
予定していなかったけれどウーロン茶も買った
レジでかなりの金額になったのでおかしいと思って確認したら
ウーロン茶が高額だった
陳列棚を確認すると確かにそのウーロン茶だけは一桁違う値段設定だった
レジで英語でお願いしていたら
担当者に回された
フランス人らしいその若い女性はかなり美人だったがわたしを見る目は険しかった
何を言っても、Non!とくり返すだけで、帰れ!ということらしかった
たったいま買ったばかりだ、レシートもある、間違えただけだ、払い戻しして欲しい、
そんなことを言い続けたが取り合ってくれない
しかし粘り続けた(どうしてあんなに粘ることができたのだろう)
奥からさらに担当者が出てきて、その人がやっと応じてくれた

これがフランス、パリという場所の現実なのかと、自分なりに納得した
多分、彼女の目には、中国人も日本人もタイ人も区別できるものではなく、
みな同様に要注意なのだろう
自分はそういうカテゴリーの人間なのだと思い知る
そんな風だった

その後、旅も慣れてくるとそんないやな目に遭うこともなく、
さらに円が強かった時代にはそれ相応のよい待遇もあり、
昔のことも、あれは自分の身なりが貧しかったせいもあるのだろうと、
省みる余裕もあるのだが、
やはりいまこうして記しているように、何ともいやな記憶であるには違いないのだ。

どこの国でも、美人は人に優しかったような気がするが、パリは違った。
ボンマルシェの屋上で見たパリの街をいま思い出せる。
ずいぶん昔のことだ。

品川を歩いていると、旅行中の白人も目につくようだ。いい旅であればいい。