ファミリーレストランで人生論

ファミリーレストランに入ってみた

普通の食事の時間ではなかったが
それでもほぼ満員で
不思議なほどに混み合っている

テーブルとテーブルが近いのには驚いた
大学生協みたい
こんなに詰めても満員だからいいのだろう

ご婦人方は結構な大声で話しているので
こちらは一人だから
聞くともなしに聞いてしまう

その人はなにかマスコミ関係の人らしく
テレビの脚本か何かを批判している
40代か50代か不明の年齢層で
よく似たタイプの女性が二人で
あれこれ話す

がっかりした
あんなラストはない
あり得ない
期待してたのに

とか語る
何かのドキュメンタリーについての話のようだ

サンダルみたいな靴をぶらぶらさせている
もう格好も何も気にならないようだ
たぶんユニクロなどの普段着そのままなのだろうか

話す言葉もほとんど心に浮かんだことを自動的に口に出している様子だ
何かの人生論風である
誰なのだろう
たぶんこんな風な人がいるのだろう

デザートに何か食べたいと言うことらしく
そのことでまたしばらくしゃべっている
心の中の実況放送みたいな感じ

なるほどこんな風に迷うものかと知らされる
そしてこんなことでこんなに迷っているのでは
大事なことにはほとんど思考が至らないだろうと思う
いつもその手前で疲れ果てるのだろう

そして頭が空っぽになったところに誰かの人生論が入って
それを友人と言い合って
「いいんだよねー」と確認している様子だ

シムラケンのコマーシャルはそのあたりの痛い批評になっている

このような人生を送ることも可能なのかと知って
店を出た

ファミリーレストランとは言いながら
実際はあまり安くない

新橋駅前のあたりの立ち食いそば屋なら
500円でおつりが来る

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誰も皆、それぞれに人生論を語り
他人を批判し自分を偉く思い
誰かに肯定されて自分をやっと肯定できるという
ノーマルな自己愛的風景である

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マスコミ関係の内部の人らしかったが
このような人の集合体としてのマスコミであれば
結果として現在のようになることもやむを得ないかと思う

マスコミでは役人を馬鹿だと言っているが
もっとひどい人がたくさんいるのでとても困る

マスコミはメーカーを批判できないので
役人を批判する

そのようにして自分は偉いのだと
自分を納得させている

国民は自分たちにふさわしい政治家しか持てない
それと同じように
国民は自分たちにふさわしいマスコミしか持てない