コラージュ論 総論3

1.
「リンゴという言葉」=「Aさんにとってのリンゴのイメージ」+「Bさんにとってのリンゴのイメージ」+…… である。つまり「集合」であり、イデアである。


2.
「リンゴの写真」は具体的なイメージである。

3.
しかしながら、たとえばAさん個人のイメージシステムにとっては、
「リンゴという言葉」=「Aさんにとってのりんご」、これでおしまいである。
概念としては、1.なのであって、それはイデアに近いもので、「集合」なのだと理解できる。しかしイメージの内容としては、「Aさんにとってのリンゴ」である。


4.
従って、「リンゴという言葉」を提示する場合と、「リンゴの写真」を提示する場合とでは、あまり変わりないものになるはずである。


5.
だから、コラージュ技法で具体的な写真を用いることは、イメージの発展を妨げることはない。

6.
くどいことを言ったあげく、これだけかということである。思いつきは確かに思いつきなのだが、単なる理屈で、発展性がないことだった。

7.
言葉が指し示しているものは確かにイデアであり「集合」なのだが、具体的な個人の内部のイメージシステムでは、集合ではなく、要素であるといいたいわけだ。