ジャン・フィリップ・コラール 夜のガスパール

昼のNHKFM、クラシックの時間、

ジャン・フィリップ・コラールの演奏で

夜のガスパールが流れている。

ジャン・フィリップ・コラールは昔々来日した折に聞いたことがある。

思いがけなく昔が蘇る。

記憶は保たれていた。

鮮明に蘇る。

何かの調べものでネットを閲覧していた。

横浜の写真がでていた。

ああ、あの辺だと見当がつく。

そしてその場所にまつわるいくつかのことが思い浮かぶ。

ここにも記憶が埋まっていた。

普段忘れていることだけれど、

記憶はある。

いろいろな記憶があるのに、

悪いことばかり思い出してしまうというのが、

うつの特徴なのかもしれない。

悪いことばかり思い出すと当然気持ちは沈んでしまう、

そのようにして出口は見えなくなって行く。

出口に辿り着く方法も忘れてしまう。

合理的な解決?

そうかもしれない。

その方向で動けばいいはずだ。

一応、動いてはいる。

それでも心は沈んだままなのだ。

窓からはいつまでも残る里桜の桃色。

桃色が見えているのはすでに葉だけが残っているのだろうか。

それともまだ少しは花びらもあるのだろうか。

ときどき風に花びらが舞っているように思う。

それよりも銀杏も染井吉野もさかんな緑を茂らせて

生命の力を見せつけている。

年が改まりまた新しい緑を茂らせている、

このめざましい生命力。

再生の力。

人間も年を取るとむしろ再生の力に頼りたいと思うようになる。