灰色の空 人を濡らす霧

そんなこんなで一日いろいろと体験したわけです

そしてもうこれでいいじゃないかという気分にさえなる

電車では人身事故発生のニュースが流れていた

私は自分の大切にしてきたものを無理に奪い取られた

その喪失感の大きさを実感して

人間が死ぬ時はこんなものだろうかと思った

死こそ大きな別れなのだ

死んであの世に持っていけないものを蓄えても仕方がない

そう言われるものだしその通りでもある

真に自分のものでないなら

執着しないようにしよう

そう思う

その上で思うのだが

やはりこの喪失は私にはこたえている

この大きな喪失から立ち直ることができない

駅ではからすが飛んでいる

何という灰色の空

降るでもなく人を濡らす霧

人が人を裏切る

人を傷つける

人を嫉妬する

人は人を不信する

生きれば生きるほどこの世を厭うようになる

それでいい

なにもいらない

人からは見れば私はある程度恵まれている部類なのだとお説教されたりする

私にはそんなお説教は一種の攻撃だと思われる

どちらが優越しているのかを試しているように思える

そんなとき私はいつも負ける

だって弱いから

こんな時私は自分の人生に執着する気力もなくしている

生きる気力が失せている

そしてその先になにもない

悔しいと思う気持ちさえ

消えている

ただもう疲れているのだ

もう勘弁してください