症例としての名探偵モンク

ベッドの中で、
名探偵モンクを読み始めた。おもしろい。

モンクは清潔強迫、不潔恐怖という設定である。

清潔強迫、不潔恐怖、不潔妄想と並べて考えると、
それぞれ微妙に違うものをさすのだけれど、
そんなに意味のあることかなあと思った。(下で訂正。)

モンクは、自分が「不合理でばかばかしい考えに囚われている」とは
感じていないようで、
不潔に対して他人が寛容な様子に
素直に驚いている。
強迫症の場合には、自分の囚われている考えが、
不合理でばかばかしくて、本当は間違いなのだと充分に承知している。
自分はそう感じてしまうが、常識は違うのだとよく知っている。
それでも考えてしまうし、行為してしまうので、苦しむ。

ということは、モンクの場合は、不合理の自覚がないので、
強迫症ではなくて、妄想症の部類に入るのだけれど、
生活における障害が特に大きくないし、
うまくクリアーできているので、
「事例性」がないといえるだろう。

事例性がない場合には、強迫でも妄想でも、まあ、取り立てて厳密に言わなくてもいい。

分析医にかかっているという設定であるが、
あまり役に立っていないような気がする。
事例性がない場合には役に立たなくていいという教えである。

*****
ここまで書いて考え直した。
これは小説だからこうなっているのであって、
このような人がいたとしたら、
多分、きちんと治療した方がいい。

強迫と不安と妄想は、隣り合っているが、やはりかなり違うもので、
あいまいにはできないし、すべきでもない。

小説がおもしろかったので、ついつい、
こういうタイプの人がいてもいいと
引き込まれたというところだ。
これはフィクション。あくまでも、お楽しみ、である。
続きがあるので、夕食の買い物のあとで、読む。