人生のほんとう 池田晶子[著]

本の中身は読んでいない。しかし、目次を見ていて、自分なら何を書くだろうかと考えてみる。著者は何を書いているだろうかと推定してみる。それもかなり楽しい。刺激的な目次が並んでいる。
著者は、哲学するとはどういうことかを日常の言葉を用いて示し、多くの読者を得る。2007年2月23日若くして、惜しまれつつ死去。


目次
1.常識―生死について
処世訓よりずっと大事なこと/根本にある謎/人生を見直す視点/常識とは何か/当たり前を生きる強さ/なぜ生きて死ぬのか/存在の謎に気づく/見方が逆転する/人の死は悲しいのか/一期一会ということ/死ぬのに死なない/問うているのは誰か/人生の公式/言葉と定義/ライフプランという不自由/たかが人生という覚悟/覚めてみる夢/不可思議な構造


2.社会―その虚構を見抜く
「国家」はどこにあるか/「思い込み」と「作りごと」/戦争はなぜ最大の愚行か/社会と個人は対立しない/私は「日本人」ではない/お金というフィクション/会社のせいにはできない/血縁の考え方/親子の不思議/家族という虚構/「世間」とは何か/「皆」と「世論」/虚構と自覚して生きる/心理的な落とし穴/愛と孤独/理想の共同体/精神の革命


3.年齢―その味わい方
アンチ・エイジング/鶴亀だって年をとる/隠居・長老はどこへ消えた/「ピンピンコロリ」の矛盾/人生の皮肉/年齢の秘密/経験の意味/形而中の味わい/過去はどこにあるのか/物語化の欲望/中年期以降が楽しい/「時熟」の味/内省する習慣/合わせ鏡の構造/歴史が面白くなるわけ/意識の宇宙史/私はすでにボケている


4.宗教―人生の意味
宗教はいかがわしいか/真贋の見分け方/宗教を求める心理/一神教とは何か/神のパラドックス/一神教の限界/禅の面白さ/自分の意志では生きていない/「信じる」から「気がつく」へ/科学的般若心経の間違い/論理で語り得ないもの/救いとは何か/何ものでもないという原点/大安心とは/色即是空の意味/宗教はメタファーである/解脱に逢うては解脱を殺せ/お釈迦様は覚ったのか/一休さんの人生 


5.魂―自己性の謎
哲学の向こう側/私の嗜好はどこから来たか/魂のイメージ/心理学における魂/ユングの語り方/エゴとセルフ/「胡蝶の夢」/魂という宇宙/唯魂論/自我という錯覚/ヘラクレイトスの断片/科学的アニミズムの不気味/キャラクターの不思議/「運命は性格にあり」/俗流・亜流のつまらなさ/成功哲学は行き詰まる/輪廻転生という型/語りの二つの方向/カルマの物語に巻き込まれるな/実体ではなく関係性/元型としての神話/ピュタゴラスへの悪口/プラトンの苦心/物語を自覚する 


6.存在―人生とはなにか
人間が崩れてきた/ネット社会の悪弊/脳ブームと痴呆化/多勢に無勢/無意識とカタストロフ/自分さえ善ければ/「欲をかくな」/「時代精神」とは何か/現代の時代精神/不可知のX/語りのレベル/謎を生きている自覚/池田は死ぬが私は死なない/縁起と空/言葉は沈黙を伝える/死者の言葉/無への言葉/若い人は勘がいい/十七歳からの手紙/「メビウスの帯」/垂直的な精神/可能な限り深く味わう


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もう一つ目次をのぞいてみると、こちらはすこし刺激が少ない。

「あたりまえなことばかり」池田晶子[著]

走りながら考える
善悪を教えるよりも
生命操作の時代
プラトン、ロゴスの果て
哲学と笑い



考えるとはどういうことか
生きているとはどういうことか



幸福はどこにあるのか
どうすれば癒されるのか
孤独は苦しいものなのか
本当の自分はどこにいるのか
死ぬのは不幸なことなのか
他者の死はなぜ悲しいか
老いは個人の生を超え