不登校とうつ病

Q: 不登校とうつ病の関係について教えてください。  
  
 周囲が注意早期受診を

 A: うつ病を伴う不登校児のほんとんどは中高生です。二つのタイプがあり、一つ目は不登校が先行し、親や教師からの登校刺激に対しての反発や、登校できない自分との葛藤(かっとう)などで精神的に疲労し、うつ病を呈する場合です。

 二つ目は、逆にうつ病が先行し、そのため次第に学校へ行けなくなる場合です。

 ――うつ病とは?

 物事に興味がわかない、憂うつ感、なぜか悲しくなる、ささいなことにイライラしたり怒りっぽくなったりします。また寝付きが悪く、途中で目覚めてその後眠れない、食事がおいしくない、腹痛や頭痛、疲れやすいなどの症状が見られますが、これらのいくつかが組み合わさって生じます。

 症状が進行すると、「死にたい」気持ちになったり、自殺を試みたりします。初期のころや軽症のうつ病では登校も出来ていて、周囲からは、「やる気がない」とか「怠けている」と思われていることも多いようです。しかし、最近は担任や養護の先生の勧めによる受診も多くなりました。

 ――親や教師から見て、うつ病の見分け方はありますか?

 笑いが少なくなったり、涙もろくなったり、提出物を忘れたり、ささいなことで情緒不安定になったり、悲観的な言動が続く場合は要注意です。また、保健室へ行くことが多くなったりすることもあります。当然、長期間でみれば学力は低下します。進行すれば不登校も伴います。

 ――うつ病の治療とその効果のほどは?

 支持的カウンセリングを基本に、薬物療法が必須です。特に励ましは禁句です。本人は「薬に頼りたくない」、親は「薬に頼らせたくない」と思いながら時間が経過し、単位不足のために留年間近で受診する場合もあります。手遅れにならないように、親や教師が早めに気づいて、心療内科、神経科、精神科に受診を促すことが大切です。

 たとえ不登校が合併していても、うつ病が良くなると前向きになって速やかに再登校できる場合が多いのです。しかし、うつ病が改善しても再登校できない場合もあります。この場合は、「ひきこもり」への移行を防ぐために、不登校の治療も必要になります。