うつ病を見分ける12のサイン

 うつ病を見分ける12のサイン

うつ病は本人が気づかないままでいたり、調子が優れないと思っても我慢している場合も多いのです。本人だけでなく、家族や周囲の人が、できるだけ早く異変に気づいてあげることが大事です。うつ病の人が発するサインを挙げますので、参考にしてください。

自覚症状1――誰とも会いたくない

無理やり人と会ってもつらいだけで、黙りこくってしまいます。電話に出たり、メールを見ようという気にもなれません。
●周りの人は……これまでつきあいのよかった人が誘いを断るようになったり、電話やメールへの返信が来なくなったときは要注意です。

自覚症状2――今まで興味のあったことにまったく関心が持てない

無気力になって、いつも見ていた野球中継を見なくなったり、好きで続けてきたことにも関心がなくなり、それどころか嫌気がさしてしまいます。
●周りの人は……「いつもやっていたことをしなくなる」ということが、ひとつのポイントになります。

自覚症状3――仕事や勉強をやる気が起こらない

ただ疲れているだけなら一晩眠ればやる気(意欲)が出てくるものですが、いくら眠ってもやる気が起きません。がんばって机に向かってもやる気が起きず、やり始めても続きません。
●周りの人は……生真面目で完璧主義だった人が急にやる気を見せなくなったり、それが長く続くようなときは要注意です。

自覚症状4――極端に仕事の能率が落ちてしまった

判断力や思考力がにぶり、論理的に物事が考えられなくなって、集中力が落ちます。
●周りの人は……あまり長い期間、能率が上がらない状態が続くようなときは要注意です。

自覚症状5――なぜかむなしい気分が抜けない

なんの理由もなくむなしい気分が続き、いつまでたっても回復しません。
●周りの人は……「何をやっても意味がない」「すべて自分が悪いんだ」など、悲観的な言葉を頻繁に発するようになったら要注意です。

自覚症状6――ほんの些細なことでも判断できない

仕事上の決断だけでなく、夕食を何にするかといった些細なことまで決められなくなります。かと思うと、会社を辞めてしまうなど、重大なことをあっさり決めてしまったりします。
●周りの人は……日頃の言動と比べてあまりにもおかしな決断をするようになったら要注意です。

自覚症状7――寝つきが悪い、早朝に目が覚める

睡眠障害は、うつ病に多くみられる症状のひとつです。
●周りの人は……疲れが抜けず食欲不振になったり、体重が減って顔色が悪くなったりしていたら、「最近、よく眠れている?」と尋ねてみましょう。

自覚症状8――朝がつらく、夕方にかけて少し気分的に楽になる

"朝のつらさ"も、うつ病の症状のひとつです。会社や学校に行く気が起こらないのに、行かなければならないという気持ちの狭間で苦しいのです。
●周りの人は……とくに朝、沈んでいる表情をしていたり、あまりにも元気がない様子が続くときは要注意です。「夕方は普通にしているから大丈夫だな」、と安心しないように。

自覚症状9――理由もなくからだがだるい、重い

疲れるようなことは何もしていないのに、どうしようもなく疲れを覚え、階段を上がっただけで動悸が起こるなど、いつもよりも体のだるさがひどい状態が続きます。
●周りの人は……以前よりも動きが遅く、ものぐさに見えたり、それまできちんとこぎれいな服装をしていた人が、身だしなみに注意をはらわなくなったりしたら要注意です。

自覚症状10――何を食べてもおいしいと思えない

以前好きだったものを食べたいと思わなくなったり、好きでもないものを義務感から食べたりします。食べても味がしなかったり、胃のもたれ、むかつきを感じる人もいます。
●周りの人は……それまでとは食べ物の好みが変わったら要注意です。

自覚症状11――記憶力が極端に低下した

質問されてもすぐに答えられなかったり、ついさっきの約束も思い出せなかったりします。
●周りの人は……いま言ったことを何度も聞き返したり、「心ここにあらず」といった様子が見えたら要注意です。

自覚症状12――異性に対する興味や性欲が減退してきた

男性の場合はEDになったり、女性の場合は月経不順になったりします。
●周りの人は……夫婦やカップルの場合は、パートナーに興味がなくなったら要注意です。

 

§4  自分でできる「うつ度」チェック表

次に紹介する問診表は、南フロリダ大学のシーハン教授らが多くの欧米の精神科医と意見交換をして作成したものです。信頼度が高いと評価され、世界的に使われています。ただし、このようなテストは、「うつ病かどうか」の判定をするものではありません。「病院に行く必要があるかどうか」を考えるときの目安に使ってください。

「MINI問診表」
A1  この2週間以上、毎日のように、ほとんど一日中ずっと憂うつであったり、沈んだ気持ちでいましたか?
 
はい・いいえ

A2  この2週間以上、ほとんどのことに興味がなくなっていたり、大抵いつもなら楽しめていたことが楽しめなくなっていましたか?
 
はい・いいえ

A1またはA2のどちらか、また両方が「はい」である場合、A3以降に進む。
A1、はA2がともに「いいえ」の場合、うつ病ではないと思われます。

A3  〔エピソード現在〕  この2週間以上、憂うつであったり、ほとんどのことに興味がなくなっていた場合、あなたは……
 
a    毎日のように、食欲が低下、または増加していましたか?  または、自分では意識しないうちに、体重が減少、または増加しましたか?
 
はい・いいえ

b    毎晩のように、睡眠に問題(たとえば、寝つきが悪い、真夜中に目が覚める、朝早く目覚める、寝すぎてしまうなど)がありましたか?
 
はい・いいえ

c    毎日のように、普段に比べて話し方や動作が鈍くなったり、静かに座っていられなくなりましたか?
 
はい・いいえ

d    毎日のように、疲れを感じたり、または気力がないと感じましたか?
 
はい・いいえ

e    毎日のように、自分には価値がないと感じたり、または罪の意識を感じたりしましたか?
 
はい・いいえ

f    毎日のように、集中したり決断したりすることが難しいと感じましたか?
 
はい・いいえ

g    自分を傷つけたり自殺をすることや、死んでいればよかったと繰り返し考えましたか?
 
はい・いい

★A1~A3(a~g)の回答に、少なくともA1かA2のどちらかを含んで、5つ以上「はい」がある?
 
はい・いいえ

「M.I.N.I.精神疾患簡易構造化面接法」(星和書店)より
最後の問い(★)が「はい」の場合、うつ病の疑いがあります。他の情報と総合的に考え、早めに専門医に受診することをお勧めします。
「いいえ」の場合は、うつ病ではないと思われます。