大学生の「いじめ」報告が増える 20人でたかる

大学生の「いじめ」報告が増える 20人でたかる

「いじめ」といえば、小中学校、そしてパワハラなどに見られる職場でのいじめが頭に浮かぶことだろう。付き合いたくない人と接せざるを得ないが故に起こるものであるため、付き合う相手を自由に選べるはずの大学生の間でいじめがあるとは想像し難い。

 だが、最近は大学生のいじめの報告をよく聞くようになったと、ある私立大学の准教授は語る。「立て続けに大学に報告されたのが、“たかり”です。最初は耳を疑いましたが、2回目以降は“あぁ、そういう時代なんだな”と納得しました」。

 最近の男子学生は3~4人程度でグループを組んでダベったり飲んだり遊んだりすることが多いという。彼らにはそこしか世界がないため、このグループと仲が悪くなったらもう居場所がなくなる。そこで気の弱い学生はなんと“飲み代や食事代をおごる”という行動に出るのだと。それが続くと、“おごるヤツ”“気前のいいヤツ”などの扱いを受けるようになる。この“気前のいいヤツ”は仕送りが20万円を超える地方の金持ちの息子が多い。

「最初はそのグループ内で済むのですが、メンバーが他の場所で“なんでもメシをおごってくれるヤツと自分は仲がいい”などと言い、そうするとオレもオレもとばかりに大勢の人が彼におごってもらおうと集まるのです。ひどい例だと20人が集まって、居酒屋でおごらされたこともありました」。

 こんなことをしていると“気前のいいヤツ”はいくら仕送りの額が多くてもお金が続くわけがなく、親にさらにお金をせびる。何度も続くと不審に思う親から理由を聞かれ、ようやく“たかり”に遭っていたことが明らかになるのだ。親は激怒し、大学当局に連絡。こうしていじめが明らかになる。

 前出大学准教授は「そんなことしてまで付き合わなくてはいけないとは、何とも情けなく悲しい話です。ただ、その小さなグループ以外に世界を持っていない学生もおり、彼にとっては、たかる人間でも大事な友人だと思っているのでしょう。だから捨てられない」と語る。