高血圧治療ガイドライン予測

2004年のガイドラインでは、利尿薬、ARB、Ca拮抗薬、ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)、β遮断薬、α遮断薬の6つを主要薬として挙げた。
まだ結論は出ていないのだが、全体的な流れとしてはα遮断薬が主要降圧薬に残るのは難しい方向。
ただし一般的な主要薬から外れたとしても、早朝高血圧など、特別な病態での適応が残るのは間違いない。
メーカーは必死でここをアピールしている。前立腺肥大症に伴う排尿障害や神経因性膀胱に伴う排尿困難のあるときに勧められている。

 β遮断薬も主要薬から外れるかどうか微妙である。ARBやCa拮抗薬と比較して、β遮断薬を処方した方がメリットが高いというデータがほとんどない。
 一方で、「LIFE」や「ASCOT」で使われていたβ遮断薬が古いタイプのものだったという問題もある。代謝面に悪影響を及ぼさない新しいタイプのβ遮断薬は試験を実施すれば、結果が異なる可能性もある。
 また、日本では高齢の高血圧症患者が多く、β遮断薬は、高齢者やハイリスク症例におけるエビデンスが他の主要薬に比較して少ないとの意見もある。

 β遮断薬は昔から不安性の病態にいいと言われてきたものだ。
 最近では個人的にはまったく使わないのだが。

国際的に見ると、ガイドラインの内容には各国間でかなりの相違がある。
2007年に改訂された欧州の高血圧治療ガイドラインにはβ遮断薬が主要薬として残されたが、
英国のガイドラインでは完全に外されて第4選択になっている。
各国、各地域の医療事情や学会の考え方で意見が分かれている。
二剤併用についても考えが割れている。

後期高齢者の降圧目標については、大きく分けると2つの考え方がある。
2004年のガイドラインで記述したように中間目標を150/100mmHgとして、
最終目標を140/90mmHg未満にするという考え方がまず1つ。

もう1つは最終目標の140/90mmHg未満のみを示せばいいという考え方だ。

2004年のガイドラインが出た後に結果が明らかになったJATOS試験のデータは、中間目標を置くことの妥当性を示唆している。しかし中間目標を示せば、とりあえずそれでいいとする人たちも出てくるだろうと心配しているらしい。
β遮断薬と利尿薬の併用を2004年のガイドラインでは推奨していたが、2009年版では外すことになるだろう。