新橋的萌情

新橋的おっさんになると
人生経験も長い
いまさらかなりの美人をみても驚かない
体の線も別に珍しいものでもない
ただそれだけのものだろう
画像としては5ミリ程度線の軌跡が違うだけである
フェロモンを感じることもあるが驚きはしない
いまどきは美容外科でかなりのこともしているから
都心部にはいい曲線がいくらもあるいている

しかしかなりいいものを見てきた
おっさんが目が悪くなっているのである
年のせいで老眼が混じり
一方でコンピュータのせいで近視になって
分けのほからないような目になっている
目の前のものがどんな線をしているのかよく見えないのである
そんなとき、とりあえず、自分の頭の中にある線を想像してみるのだ。
投影という。

目が悪いほうが対象の本質を無視して
自分の好きな線を描けるので
世界はずっと美しくなる
おかげで気分は上々である
ぼうとぼやけた先には宮沢りえの面影が浮かぶのである

目が悪くなるに従って世界はますます理想の美に満ち満ちている

目に映るものに発情するなどばかげたことと悟った気分でいたのだが
きれいな女性のポスターを見ただけで発情した
まったくいい年をして愚かであるが
匂いも感触もなく音もなくただ平面の写真に発情するのである
それはインクの集合体でしょうと
言っている自分が発情しているのだから
対処も何もない

これは錯誤である