勝者、敗者、評論家

テレビでスポーツの試合を見る。
勝者に同一化していれば、単純に優越感を感じることができる。
敗者に同一化していた場合、
敗戦の一瞬前に、評論家に変化し、
敗戦を批判する立場に立ち、敗戦のトラウマから免れることができる。
負けて、徹底的に打ちひしがれ、
これまでのすべての努力の時間が否定され、
自分は無価値だと認めざるを得ないとき、
そのトラウマを共有せず、
自分だけ評論家に変化してしまうのである。

そのずるさが
人間の強さでもある。
みんな傷つかないように生きているのだ。