万引きその他の犯罪と消費者主義

現代では消費社会の「主権者」として、
消費のあれこれを享楽することが
生きることの実質のようになってさえいる。

一方でもちろんたいていの人は労働者であり、
何のために働くのかといわれて、
大半の人は、この消費社会でいずれ消費するはずのお金を稼ぎたいのである。

我々の生きている消費社会の現実がどんなものであるか
時々内部告発があり明らかになる

農業の生産現場では過剰な農薬、遺伝子組み換え作物、
食を提供する現場では食べ残し食材の使い回し、
BSE問題も消えてなくなったわけではない。
ブレーキの壊れた車を売っても会社はかろうじてつぶれず、
パソコンの電池は煙を噴いたりする。
知っていて悪いものを売る世界。
保険に入っても、役に立たない保険。会社ぐるみで支払いをしない。
嘘や偽物がいろいろな理由で通用してしまう世界。

パソコンは台湾で部品を買って組み立てて、
日本の会社はコマーシャルをしているだけなのだけれど、
故障のサポートはしなければならず、
そんなことは当然分からないのので、
中国の奥地に住む人が電話に出て対応してくれるのだそうだ。

町に出ればいろんな人。
他人の運命なら分かる運命鑑定士。
他人の株価なら分かる経済通、今度こそ買いだと叫ぶ。
苦しい特に限って資金を止める銀行。
ゴルフ場での法律しか分からない法律家。
トイレで自分に麻酔をかける麻酔科医。
医療に回す税金で新設大学を作ってしまった土建屋市会議員。

適度に良心的であって、なおかつ適度に利潤が上がればいいけれど、
だんだん難しくなるようだ。

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現代社会の技術を用いれば、お店で、万引きを完全に予防することもできるだろうと思う。
商品にタグをつけて管理し、なおかつ、店内をビデオで監視して、予防ともし、発生時の対処にも使う。

そのように厳密にしないで、ある程度の万引きを放置し、
その損失分を健全な消費者に支払わせているのではないか。

たぶん、ある程度万引きもできそうなくらい、ゆるゆるの管理の方が、
買い物に行って心地よいのだろうと思う。
だから、多少の損が出ても、それも利益の中に見込んで計算しているのだろう。

万引きが発生したあとで、捕まえて、いろいろと手続きをするのも大変に面倒で、店にすれば人件費がかかることになる。それくらいなら、誰かに何かを売ってもうけた方がいいということになるのかもしれない。

おかしな話である。

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たとえば、さまざまな性的被害が報告される。
それに対して社会はどのような対策を打っているか。

自分の家の娘の服装はどのように指導しているか。娘の外出時間はどのように指導しているか。
また、コマーシャルやドラマに登場する女性たちはどのように振る舞っているか、バラエティの中でどのように発言しているか。
すべては一体となり、ぎりぎりの線で、刺激し、しかし責任回避している。
刺激されて行動してしまったら、残念ながら個人の責任である。

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殺人についても、毎夜のように殺人が行われているテレビの世界はどうしたことなのだろう。
これが人の親として、子どもに見せたい番組なのだろうか?
そんなはずはないのにどうしてこんな番組ばかりなのだろう?

ゲームではとりあえず殺人をする。

女性雑誌のページをめくり、ブランドものが欲しくなり、援助交際をする。
挙げ句の果てはなぜ援助交際が悪いのかという。
オランダでは公認で、税金の申告もするそうだ。

雑誌の最後にはやせと美白のページである。
このせいで無理なダイエットは流行し、その延長に過食も発生する。

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経済を活性化するための必要悪と割り切っていることが多すぎないか。
経済の活性化と悪の誘導が微妙に関係しているようで少し気になった。
どこまでだまされたら目が覚めるのだろう。

性、暴力、殺人などに頼るしか「投資効果のある反応を示す」宣伝ができないのだろうか。