集団権威の解体と自己愛の肥大

フロイトの生きた世紀末のウィーンで
父性は生きていたしキリスト教的抑圧も生きていた

現代は違う
たとえば、女性に関しての幻想が破られた。
女性もまた性愛に関して積極的に行動していいのだと認められた。
性的タブーの解体。

親の権威の解体。子供たちは親よりも権威のあるものを知って、それを道具に親を批判する。

国家に対する幻滅。これはヨーロッパで顕著であるが、
国よりも、ユーロという大きなまとまりと、民族という小さなまとまりの、両極が必要とされている。
国は必要ではない。
中国などもそのような動き。

宗教の脱権威化。中国でいえばイデオロギーが背景に退いている。
アメリカでは最近は揺り戻しのようで東部と西部の海岸沿い以外では
キリスト教右派と名付けられる勢力のことが伝えられている。

女性幻想、家幻想、国家幻想、宗教幻想、これらのものが軒並み、
個人主義、個の確立に向かって動いた。
豊かな大量消費社会になり、集団主義は魅力がなくなった。
大義や正義よりもいいものを食べて温かく暮らしたまに旅行に行く方が大事になった。

この状況では自己愛が肥大する。そして肥大した自己愛を共有する形で集団が形成される。
集団の形成原理も運動原理も自己愛である。

そうは言いながら
自己愛は強いものではなくて、簡単に傷つく種類のものである。
肥大しているが、血を流しやすい。そのようなもの。