AD残酷物語

ADは一週間家に帰れない
風呂に入れなくて
着替えもできない
そこら辺で雑魚寝する
奴隷である
食事もカップ麺かコンビニ弁当で
とにかく体がくさくて恋愛どころではない
上からの指示は間違いが多くて
言われたとおりにやればどうして自分で考えないのかと怒鳴られるし
自分で考えてやればなぜ指示に従わないかと叱られるし
あらかじめ打ち合わせしたいというと責任逃れかと言われ
この忙しいのが目に入らないとはいい神経だと絡まれる
職場は性格障害の見本市だという

上の失敗はADのせい
仕事がうまくいけば上の手柄
出世はないし給料は上がらない
区切りが来れば首になってそれだけの使い捨て
技術の進歩もないし
人脈の広がりもない
将来の展望など全くないのである
ただ職場全体で焦っていて
ADが生け贄のように当たられる

ニュースで臨時工を首にする企業はひどいなどといっているが
放送局のADは臨時工以下の待遇でやめる自由さえない奴隷なのだ
好きでやっていることになっているから労働時間なんていう考えはない
ただ締め切りがあるのみ
やめさせてくれるなんてうらやましいという

おかしな人間関係でややこしくて仕方がない
何重にも不倫して昔の愛人と新しい愛人が一緒に働く職場で
家族の価値を描くドラマなどを作っていて
嘘くさくて仕方がない

ニュースで取材に行ったとしても、真実をとるのではなくて、注文に応じた画面をとるだけ。
困っている子どもを撮ってこい、怒っている子どもを探して撮ってこい、
もう全部決められていて、それに合った映像を集めるだけ。集まらないときはねつ造。
オン・エアに間に合わせるだけのやっつけ仕事

局の人たちは平均年収1500万円
この給料の格差を何とかして欲しい。
ADも家に帰りたい。風呂に入りたい。普通に寝たい。
とにかく結婚できないのだけは間違いない。
可能性は職場結婚だが
人間のくず、またはそれ以下の扱われている私に可能性はない

あ、女の子です、あたし
え、それを早く言えっていうんですか、どうして上司と同じこと言って私をいじめるんですか、と
泣く。