あの人はいい人でした。

何か事件の犠牲者が出て、
ニュースは追悼番組になる。
関係者が出演して、その人についての人となりを語る。
語る人は心理学や人格の専門家ではないから、
その人なりの感じ方で語るのであるが、
それが思いっきり、投影性の言葉であったりして、
事件の主人公がどうであったのかはよく分からず、
ただ思い出を発言している人間の人間観がわかるだけということもあるのだった。

翻って考えるに、語る人はうそを言っているのではない。
自分の見方はその角度からなのだから、普段からその角度で見ている。
そうすると、その角度からの人間の像が見える。
それを素直に語っているのだろう。
いいことだ、素直であることはいいことだ。
しかしそれは死者の属性ではなく、語るものの属性なのだ。

まあ、周りにどんな価値観の人間がいたのかを知ることも
大切な要素ではある。