二重の敗北

すべてを捨てたはずだ

無一物から出発するはずだった

しかし世間は許してくれない

結局過去の残骸をかき集めて

つぎはぎの昔の服を着て

また歩き出すしかないのだという

それこそが本当の敗北なのだ

わたしにとっては

二重の敗北なのだ

捨て身の企てさえあっさりと否定されてしまった

あなたのためですよと

訳知り顔で諭されて