香味屋 帝劇下 メンチ

帝劇の地下にある香味屋に行った。

いつもビーフシチューかメンチカツだと思っているが、

今日はメンチカツ。

いつもながらのクラシックな味わいである。

ドミグラソース。

肉そのものに少し塩味。

確かに肉汁がおいしいな。

自分でやっても、こうはできない。

ひれ肉ばかりをひき肉にしてもこうはならないので、適当に脂身が入っているはず。かな?

精養軒とか煉瓦亭と同じような感じ。

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昔、大学院の教室に、ドイツからの留学生がいた。

言葉がおもしろいらしく、語源とか、おもしろい発見とかを

いろいろ聞かされたり、質問されたりして、みんな困っていた。

「チキンカツ、トンカツ、ビーフカツ、メンチカツ」いろいろありますね、でも、

「メンチは何の肉ですか?」というのである。

メンチとは何か、誰も知らなかった。

中身はビーフのひき肉だと思うけど、

メンチという言葉はよく分からない。

小さいころから食べているはずなのに、

疑問に思わないなんて、

鈍感な人たちだと思われただろうなあと思い、

がっかりしていたら、

ドイツ語で Mensch は人間、

menschlich だと人間らしいとなる、

発音はメンシュだけど、メンチに通じるだろう。

日本人は理解し難いと言われ、

自分ながら本当に理解し難かった。

「ミンツ・ミート・カツ(minced meat cutlet)」(ひき肉カツ)。

ハンバーグに衣をつけてあげたもの。

mince 肉を細かく刻む とのことだ。

私たち日本人の大学院生はドイツ人恐るべしと思ったが、

ドイツ人は、日本人恐るべしと思ったに違いない。

人間カツを呼ぶものを食べていること、

根本的に言葉に鈍感なことに。

ひき肉カツと呼んだらどうかな?

今度は、どうして「カツ」のか、

語源はどうかと聞かれそうだ。

エビカツとどうして言わないかといわれそう。

ブタフライならだめなのかといわれそう。

イタリア人ならもっと気軽に付き合えただろうに。

これって、人種偏見かな?