人口減という深刻でどうしようもない問題

なぜこのまま日本にいることが危険なのかと言えば、
私の素朴な直感によれば、
現代の資本主義というものは、
ちょうどいい程度の成長を必要としていて、つまり、インフレが予定されている。
インフレがあるから、適度にものの値段が上がる。
最終的に上がるとしても、
上がる速さに差があり時期に差がある。
ボーっとしていても、最終的には儲かる。
すばしっこければ、もっと儲かる。
実際は損をしているのだけれど、
頭が悪いとよく分からなくなってしまう。
まじめに働いていれば報われるというのは、
インフレがもたらすまやかしである。
報われないのは、変に欲をかいたからだと説教される。
実際は、適度なインフレがなければ、ずっと赤字が続く。
労働者の赤字の分は、資本が黒字になっているのだ。
適度なインフレは、日銀が操作しきれるものではなく、基本的には、
生産拡大の結果であり、その基本には、人口増大がある。
日本は人口減少局面に入っている。
中国とインドその他は増加し続けている。
ということは、世界の局部としての日本はこの先ずっと赤字なのじゃないかということだ。
日本も黒字にしてと叫んでも、多数決なら負けてしまう。
外交しようにも、資源がない。
戦争しようにも、人がいない。
強いのは女同士でやるスポーツだけ。


日本の農業がこの先だめな感じなのは、
農地はあっても、子供がいないからだ。
土地を基本にして資本主義ができているし、
土地を区割りにして政治家が選ばれている。
土地にへばりついて耕す人がいないのだから、
この構造は、この先、単純にアウトだということになる。
農業の大規模化ということは、田舎の選挙区に人がいなくなるということだ。


都会にある生産業は利益を維持している。
しかし、その利益を、高齢者や田舎の人に使うことを拒み始めている。
だって、どちらも20年後にいなくなってしまうのだ。
冷静な会社なら、戻ってこないブーメランは、投げない。


政治改革や官僚改革が議論されているが、
現在政治家・官僚という人たちは、すぐにはやめない。
天下りも癒着もなくならない。
でも、有能な若者がどんどん離れているから、
20年もたてば、様子が変わってしまうだろう。
優秀な人たちは、アメリカの金融や政治にコミットするだろう。
だって日本に人がいないから。
税収も落ちる、活力は落ち、文化も廃れる。
エジプトが砂漠になって後進国になるのに1000年くらいかかったのかもしれないが、
日本が熱帯になって人が住まなくなるまで、もっと早いだろう。
税収を補うために国債を発行するが、多分、破綻を宣告されるまで、
発行し続けるだろう。
目の前の酒を飲むために、
子孫に借金を押し付けるのが日本人だからだ。


その膨大な借金も、インフレが進行すれば、帳消しにできるけれど、
なにしろ労働人口が減少する中で、どのようにしてインフレを演出できるものだろうか。
とりあえず、原油高、小麦高で、インフレに誘導したが、
物価は上がったけれど、賃金はそれに伴わないということになりそうだ。


原油と小麦で誰かがこっそり儲けて、
それを不動産開発に投資したり、飲み屋で振舞ったりして、
末端労働者に金がまわるという構図ではない。
石油屋と小麦屋が儲けて、中東、アメリカ、ヨーロッパで使うだけだ。


預貯金の金利を目に見えない税金として納め続けた国民は、
今度は賃金上昇なき物価上昇で、また目に見えない税金を支払うことになる。


官僚改革として、官僚の天下りと退職金を黙認し、
引き換えに、新規採用1/3でどうだろう。
20年たてば、自動的に、役人は1/3になる。
現役の誰も痛い思いをしない。
団塊の世代大量退職にともない大量採用なんてしていたらだめ。


20年後、日本の選択は、
アメリカの田舎でいるか、
中国の田舎になるか、どちらかということだろう。


移民を積極的に受け入れて、人口構成を整え、
政治力経済力を維持する選択はあるだろうか。


文明の移動の観点から見れば、日本は、ほとんど進化論におけるガラパゴス島である。
だから珍しいのだが、
ブラックバス騒ぎでも分かるように、
脆弱なのである。


たとえば、フィリピンの人とか、日本に来て、働いて、子供を育てて、永住しようと思うだろうか。
とりあえず賃金は高いが、物価も高い。
排他的精神土壌。
出稼ぎにはちょうどいいが、
それ以上ではない。


昔は東北から千葉に来て道路工事をした。
今はフィリピンから東京に来て、稼いで送金している。
あるいは、北海道の人が横綱になったものだが、いまはモンゴル。


そんなわけで、資産も何もない私としては、
どこに住んでもいいというのなら、
社会資本の充実した、しかも物価の安い、治安のよい、
昔ながらの農業生産が維持されている地域で、
多少の知的刺激もあるような場所。


パリ、ハワイが一番人気なのだが、
月の生活費は夫婦二人で40万円と数年前に聞いた。
円が弱くなりユーロが強い現状があり、
基本トレンドはそのようだ。
ハワイは何と言っても親しみと安心感があるのだけれど、
不動産価格の上昇は激しかった。
コンドミニアムを買うにも、借りるにも、結構割高だった。
賃貸するには、いいのかもしれないが。
それも今回のサブプライムで、関係者は複雑に狼狽しているのではないか。


アジア諸国は物価が安いので人気がある。
企業の駐在員として過ごした人は、運転者つき、メイド付という生活をしていた。
社交界もある。


そんなわけで、海外リタイアメントの方が年金を有効に使えるというのだ。