人の眉引

振仰けて 若月見れば 一目見し 人の眉引 思ほゆるかも
ふるさけて わかづきみれば ひとめみし ひとのまよびき おもほゆるかも
大伴家持

若月で、月齢の浅い、三日月よりもさらに薄い月を指し、
女の眉を歌う。
三日月と読むべきところを初月、若月と万葉がなで美しく表現している。



月立ちて ただ三日月の 眉根掻(か)き 日長く恋ひし 君に逢へるかも
坂上郎女(さかのうえのいらつめ)

月がまた生まれて出てくる時の、三日月のような私の眉を掻いたからでしょうね。長くお会いできなかった恋しいあなたに会えたんですもの。

眉を掻くと、人に会えるという迷信があった。
長らく焦がれていた人に、ようやく逢えるという嬉しさ。

気がつくとわたしには眉毛がない。
いつも剃っているうちになくなった。