オークションで高値を付ける人

オークションで高値を付ける人々は、負けることへの恐怖に動かされている可能性があることを、研究は示す

 【9月25日】eBayのオークションに出されているランプの値がいくらつり上がっても、あなたが値を付けるのを止められないのはなぜだろうか?

新規研究によると、あなたやオークションで高値を付ける他のすべての人々は、負けることを恐れているのかもしれない。神経科学者と経済学者のチームが、試験の被験者がオークションで値を付ける際の脳活動を調べた。報告は『Science』に発表された。

研究の第1ラウンドでは、17名の人々が、くじまたは1人を相手としたオークションに参加した。どちらの場合も被験者は金を儲けることができた。オークションゲームで勝つには、被験者は相手よりも高値を付ける必要があった。研究者らはfMRIs(機能的磁気共鳴画像)を用いて、脳の報酬回路の一部である線条の活性化を監視した。2種類のゲームをしている時の脳活動の主要な差は、オークションゲームで負けることに対して、より顕著に低下したblood oxygen level-dependent(BOLD)反応がみられたことであった。この反応がより顕著であるほど、より高値を付けた。このことは、人々が負けることを恐れてオークションで高値をつけている可能性があることを示唆した。

ゲームの第2ラウンドでは、この仮説を検証することを目的とした。被験者を3群に分け、それぞれ1人を相手としたオークションに参加させた。対照群の被験者には単純に値段を教え、値を付けるように指示した。第2群の被験者には、もし競りに勝てば、実験参加費を15ドル割増で受け取れると説明した。第3群の被験者には実験参加費を15ドル渡し、もし競りで負ければその金を失うだろうと説明した。

第3群が最も高値を付ける傾向がみられたことから、負けることを恐れて高値を付けている可能性があることが示唆された。

「これらの結果は、オークションで[高すぎる]値を付ける傾向を理解する上での社会的敗北の予想の役割を際立たせ、経済的意思決定における社会的要因を考察することの重要性を強調する」と、研究著者の一人であるニューヨーク大学神経科学のElizabeth Phelps教授は文書で述べている。