第19話の一場面
アナスターシヤ父の墓の前で
タランチュラとアナスターシヤが語る
A なぜ戻って来たの？
T あの時、君がいった言葉、「やり直せるか」と。
A もういいのよ。気にしないで。
あの日、気持ちの整理がついたの。
二人の間にある深い溝を
わたしは渡りたいと思わない。
あなたはもう渡ることができない。
国境でのこと、
わたしはあなたに恩返しがしたかった。
恩を返せない時は
あなたのことを
ずっとこころにしまって
生きていけばいいと思った。
T ときどき考える。
あの時一緒に国境を越えていたら
別人になっていた。
A そうでしょうね。
あなたへの恩は
父を奪われたことで帳消しになってしまったわ
そう考えるようにしたの。
T つまり
おれたちの間に残ったものは
深い溝だけか
これで終わりなのか
もし俺が帰ることができるなら、
君のところだと思っていた。
そしてふたりは別れる。
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タランチュラ、泣いていいんだよ。