好きな絵 ルドン 夢の具体的客観的描写

ルドンが書いたのは多分1905年、
だから100年たっている。
ルドンの夢は色あせていない。

解説によれば、
植物学的、客観的正しさではなく、
夢の中で見る花を描いた。
そして見事に成功している。

感受性の中心はルドンとわれわれとで、
時代の隔たりがあり、地域の隔たりがあり、
天才と普通人の隔たりがある。

にもかかわらず依然として、
夢の中で花はどのように咲き開いているかを、
われわれは知ることができる。

それは客観的観察対象としての花ではない。
「花の花らしさ」を対象として描いている。

「花の花らしさ」の中には
人間の側のファンタジーが大量に含まれている。

それは一種の花についての文化のシステムである。

従って、不思議は、ルドンのファンタジーと
われわれのファンタジーの重なり具合である。

過度の色の重なり、
そして過度の装飾性。
ほとんど着物の模様のごとくであり、
さらに夢の成分を深く吸い込んでいる。

見るものは一瞬ルドンの精神が邪魔になる。