岩波書店から刊行開始
フロイトについては
これまでの二種類の全集が手もとにあるので
買えば三つ目の全集になる。
フロイトはやたらに書いた人でした。
論文も書簡も。
いまは亡き小此木先生は「書き魔」と表現し、
小此木先生自身をも「書き魔」と表現していたと聞きます。
啓吾という名前の中に口が沢山入っているので、
講義をしてもおしゃべりなのだと自分で紹介していました。
フロイトが書いた配偶者宛書簡もたくさん残っている。
そんなものも含めてのフロイト全集だから、
文献学の対象なのだ。
あるいはフロイトを精神分析するための本なのだ。
わたしとしては、フロイトに還れ、ではなく、
事実に還れといいたいところだが、
事実とは何かというところで壮大に躓くのだ。
そして、事実とは何かの問題でフロイトの言説に絡め取られてしまう。
なにしろフロイト先生は圧倒的な筆力である。
翻訳の担当者たちもまた絶倫である。