藤原道綱母
夫の兼家が歌をつけて八重山吹の花を届けさせた。
夫はこの頃も別の女たちのことで忙しかった。長い間逢っていない。
仕方ないなあ、もてる人はこうなる。必然だ。
そこで道綱母は切り返した。
八重山吹の花などを
いかがかなんて言うけれど、
八重なんてきちんと数えたわけじゃないでしょ
わたしには十重(わたしを問え)に思えるのよ
十重と問えをかけている。
頭いいなあ。
八重ではなくて十重。
頭いい女は後回しになるなあ。
これも必然。
それでも、夫兼家の、道綱母に初めて送った歌も残っていて(!)、
音にのみ聞けばかなひしほととぎすこと語らはんと思ふ心あり
噂に聞く魅力的なあなたに是非一度逢いたい
というもの。
はじめは気合いも入っていたらしい。
なかなかいいもんですなあ。