「息子」の父は精神分析医である。
患者さんにいろいろといわれながらも仕事を続けている。
家庭生活でもこまごまとした出来事はあり、
しかしおおむね平穏に生活していた。
ある日、息子が事故で死んでしまう。
そのことをきっかけにして、父も母も動揺し、
自分を責めたり、後悔したりする。
父は患者さんの話を距離を保って平静に聞けなくなり、
分析オフィスをたたむことにする。
息子宛にラブレターが届き、
息子は死んだと告げる手紙を書こうとするが、なかなか書けない。
そのようにして時間は過ぎて、
次第に息子の死も心の中のひとつの風景になって行く。
耐え難い体験を受容するまでの物語。
父はまだ立ち直らなかったけれど。